ある日、母の仕事の付き添いで立ち会った排水工事の現場で、思いがけない気づきがありました。
トイレの排水詰まりを修理する業者の方が、何気なく言った一言
「シングルのトイレットペーパーのほうが、下水にはやさしいんですよね。特にマンションとかビルでは。」
日々当たり前に使っているものだからこそ、使い心地や香り、ふんわり感など、自分の“好み”だけで選んでいたトイレットペーパー。でも、その「ダブル」が排水にとっては負担になりやすく、詰まりの原因になることもあるのだそうです。
それに加え、最近では介護用オムツをそのままトイレに流してしまい、配管トラブルが大きな工事に発展したという話も聞かせていただきました。
使っている本人は「これくらい大丈夫」と思っていたのかもしれません。でもその結果、後から困るのは管理する人たちであり、結局は周りの人たちなんですよね。
「自分のため」だけではなく、「誰かのため」に選ぶこと
この日から、私はトイレットペーパーを買うとき、ちょっとだけ意識を変えるようになりました。
もちろん、好みもあります。肌へのやさしさ、流しやすさ、コストパフォーマンスも大切。
でも、“あとを流す水のこと”“それを処理する誰かのこと”をほんの少し思い出すだけで、選び方に優しさが加わる気がしたのです。
日々の暮らしの中で、たった一つの選択でも「自分以外」に心を向ける。
それは、40代という今の私にとって、“心地よさ”の質を少しずつ変えていく実感でもあります。
小さな選択が、思いやりになる
どんなに便利な世の中になっても、暮らしは「人と人」「人と環境」のつながりで成り立っています。
トイレットペーパーを選ぶ、それだけのことかもしれないけれど。
その裏にある「流れ」や「誰かの手間」を知ったとき、ちょっとだけ丁寧に選びたいなと思いました。
「快適さ」の奥にある、やさしさと配慮。
これからもそんな選び方を、大切にしていきたいです。