「頑張ればなんとかなった」時代を卒業して
20代・30代の頃は、仕事に家事に人付き合いに——やろうと思えば、全部こなせていました。
多少無理をしても、「まあ、大丈夫」と乗り切れる体力と気力があったから。
でも40代になった今、同じだけ頑張っても、なぜか疲れが取れない。
以前は気にならなかった小さなことがストレスになり、心にも体にも“余白”が必要になってきたのを感じています。
「全部を完璧に」から、「一つだけ整える」へ
ある日、ToDoリストを見ただけで気持ちがザワザワしてしまったことがありました。
でもよく考えてみると、“やることが多すぎる”というよりも、「全部を完璧にこなそう」とする自分に疲れていたのかもしれません。
そこで考え方を変えました。
“大筋だけ整える”—つまり、「自分にとって大事な軸だけは丁寧に整え、あとは無理しない」。
それが私にとっては、「出汁をとる」ことでした。
小さな“軸”が、暮らしと心を支えてくれる
たとえば、朝の支度のついでに昆布と干し椎茸を水に浸しておく。
それだけで、夕方にはその出汁をベースに味噌汁や煮物がつくれます。
外食に頼る日があっても、部屋の掃除ができなかった日でも、
「出汁をとった」という小さな積み重ねが、暮らしに“整った感”を与えてくれる。
この習慣が、忙しい毎日の中で自分を保つ“心のお守り”になりました。
家事も仕事も、「全部やる」は卒業していい
この考え方は、仕事にも応用できます。
◎ すべてのメールに即レスしない
◎ 完璧な資料にこだわらず、まずは“骨子”だけ整える
◎ すべて自分で抱えず、信頼できる人に任せる
家事も仕事も、“完璧じゃなくても支障のないこと”は思った以上に多い。
「自分が整えたいこと」にだけ手をかけ、あとは「頼る」「手放す」。
そんな選択ができるようになると、毎日が少しずつラクになっていきました。
頼ることは、“手抜き”じゃない
かつては「誰かや何かに頼ること」を、どこか後ろめたく感じていました。
でも今では、「信頼して任せること」は、自分と周囲を大切にする方法だと思えます。
簡単な献立で済ませる日があっても、掃除に手が回らない日があっても大丈夫。
大切なのは、“自分で選んだ軸”を守れているかどうか。
軸があるから、他を委ねても不安にならない。
それが「頑張らない暮らし」でも“整っている実感”を持てるコツでした。
「軸を持って、あとは頼る」暮らしが生きやすさをつくる
40代になって思うのは、「やらなきゃ」から、「やりたい」へと暮らしをシフトしていくことの大切さです。
完璧を手放すことで、自分にも、周りにもやさしくなれる。
そして、静かに出汁がとれているその香りのように、「ゆるやかな安心感」が日々の中に生まれてくるのです。
40代からの「ラクに整える暮らし」3つのコツ
◎ 自分だけの“整える軸”を決める(例:出汁、5分掃除など)
◎ 全部やらずに「手放す」「頼る」選択を増やす
◎ 頑張るより、整えることを大切にする
「がんばる私」から、「信頼して任せられる私」へ。
それは、諦めるのではなく、自分らしく暮らすための“選び直し”です。
出汁のように、静かに、でもしっかりと心を支えてくれる軸を見つけてみませんか?
きっと、毎日が少しだけラクに、やさしくなっていきます。