20代や30代の頃は、「安くて便利」が正解だと思っていました。
でも、使ってすぐ壊れたもの、なんとなく信用できなかったサービス……。
その場は得した気がしても、心に小さなモヤモヤが残っていたことを、40代になってから思い出すようになりました。
今の私は、「これは価値がある」と思う人やものに、ちゃんとお金を払いたい。
むしろそうすることが、誠実な仕事をしている人たちへの応援になると思うのです。
“安く済ませたい”の先にある心のざわつき
かつての私は「なるべく安く、早く、効率よく」と考えることが“賢い選択”だと思っていました。
でも本当に心が満たされる買い物やサービスは、そこに誠実さや人の温もりが感じられるものだったんです。
正直なサービスに、ちゃんとお金を支払いたい
先日、家族の初診のために介助付き介護タクシーを利用しました。
病院側の地域連携室の連絡ミスで診察を受けられず、私たちはその場で立ち尽くすことに。
困っている様子を見て、運転手の方は言いました。
「今回は想定外の状況でしたから、介助時間の請求から1,000円割引しておきますね。」
こちらの会社はもともと、キャンセル料や待機時間を厳しくカウントしない“良心的なルール”で運営されているところ。
その姿勢に、胸がじんとしました。
「安くなくても、また頼みたい」と思える理由
私が応援したいのは、こうした“正直ベース”で仕事をしている人たちです。
例えば以前紹介した、清澄白河の小さな革財布のお店「革工房カーペンタースミス」さん。
MADE IN JAPANの良質な革製品を、妥協せずに手作業で仕立てている職人さんですが、
「正直にやっていても、お店を続けるのが本当に厳しい」と話してくれました。
安くて大量に売れるものではなく、丁寧につくられた“本物”が静かに消えていく。
それは、どこかで私たちが“安さ”ばかりを追い求めた結果かもしれません。
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“高いけれど納得”が、心を整える
今の私は、価格よりも「信頼できるか」「気持ちよく支払えるか」を大切にしています。
肌に直接触れるスキンケアは、香りでごまかさない無添加のものを。
食卓にのぼる調味料や食材は、なるべく顔の見えるものを。
小さな個人店でも、きちんと説明してくれるお店から買う。
そんなふうに選んだものは、暮らしを整え、自分を大切にする感覚を思い出させてくれます。
お金は「得するか」ではなく、「どう感じるか」で使いたい
私が思う“いい消費”とは、
お金を「信頼」として渡せるかどうかだと思っています。
それはつまり、
「この人の仕事を応援したい」
「この考え方が好きだから、次もここにお願いしたい」
という想いを込めた選択。
40代からの消費は、“損得”より“納得”を大切にしたい。
そう思えるようになってきました。
心地よい選び方は、社会の応援にもなる
「価値あるものに、ちゃんとお金を払う」ことは、
誰かの正直な努力を守る行動でもあると、私は思います。
お金を使うたびに、心が整っていく。
それが、40代になって気づいた“本当に心地よいお金の使い方”です。