「私を守る時間」を持つということ — 40代からの境界線のつくり方

気づき

40代に入り、誰かとの距離感について、考える機会が増えました。
以前は「共感することが何よりも大切」と思っていた私。
でも今は、「共感しすぎないこと」も、やさしさのひとつかもしれないと感じるようになっています。

最近、身近な親族が離婚するという出来事がありました。
離婚なんてまったく想像できないような家族だったからこそ、その知らせを聞いたとき、胸がぎゅっと締めつけられるような思いがしました。

その家には、たくさんの家族写真が飾られていて、
笑顔にあふれた様子から「幸せそのもの」だと思い込んでいた私。
だからこそ、その知らせは静かに、でも深く心に響いたのです。

何かしてあげたい。でも今は“そっとしておく”

「何かしてあげられないだろうか」
「話を聞くだけでも意味があるかもしれない」

そんな気持ちが、自然に浮かびました。
でも、私はその気持ちを、一度そっと胸にしまいました。

今は動かないことも、ひとつの優しさ。
そう思ったのです。

人はそれぞれのペースで、痛みを整理していく時間が必要です。
無理に手を差し伸べるよりも、信じて静かに見守ることが、やさしさになる場面もあると、今の私は感じています。

40代で気づいた、「巻き込まれすぎない」関わり方

20代や30代の頃の私は、誰かの気持ちに寄り添おうとして、
いつの間にかその人の感情まで背負ってしまうような関わり方をしていました。

「相手がつらいときに、笑っていてはいけない」
「楽しく過ごす自分が、申し訳ない」

そんなふうに、自分の気持ちまで制限してしまうこともありました。
でも今は、「それでは続かない」と知っています。

他人の感情と自分の感情は、切り離してもいい。
そして、それは冷たさではなく、自分を守るという“選択”なのです。

「私を守る時間」があるから、やさしくなれる

感情に巻き込まれず、自分に戻る時間。
それが、私にとっての「私を守る時間」です。

◎ スマホを閉じて、深呼吸をする
◎ 静かな音楽をかけて、ぼーっとする
◎ 家の中を少しだけ整える

ほんの短い時間でも、自分に意識を戻すことができると、
不思議と心が整い、「どう関わるか」を冷静に考えられるようになります。

自分の心が整っているときだけ、人のために本当のやさしさを向けられる。
それが、40代の私が実感していることです。

境界線は、愛情を長く育てるために

心の境界線を引くことに、罪悪感を抱く人もいるかもしれません。
でも、それは冷たい線ではなく、思いやりを持ち続けるために必要な距離感なのだと思います。

寄り添いたいという気持ちは大切にしながら、
「今は動かない」という判断も、優しさの一部にしていい。

40代は、「人の気持ちに巻き込まれずに、やさしさを持ち続ける」という、
新しい関係性のかたちを育てていく時期なのかもしれません。

自分を大切にすることで、やさしさは続いていく

共感することは美徳。
けれど、共感に“巻き込まれすぎる”と、自分の軸がゆらいでしまうこともあります。

だからこそ、「私を守る時間」を持つことが、
本当のやさしさや信頼関係を長く育ててくれると、今の私は思っています。

その人の人生は、その人のもの。
私は、私の人生を大切にしながら、
必要なときに、そっと手を差し伸べられる人でいたい。

40代からは、「近づきすぎず、離れすぎず」な関係を選んでもいい。
そんなふうに、自分と人との境界線を静かに見直していく時間を、
これからも大切にしていきたいと思います。

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