同じ「ラベンダー」なのに、香りがまったく違う─。
そう感じたことはありませんか?
私は40代になってから、香りに敏感になった気がします。
これまで心地よいと感じていた香りが強すぎたり、逆に「ふわっ」と優しい香りに癒されたり。
そんな中で気づいたのは、香りの背景には“育った環境”があるということでした。
香りのちがいは、植物が育った“場所”のちがい
植物が持つ香りや成分は、じつは「どこで育ったか」に大きく左右されます。
ラベンダーを例に挙げると、高地で育つラベンダーはリラックス成分として知られる酢酸リナリルを豊富に含み、
甘くてやさしい香りになります。
これは、高地には虫や外敵が少ないため、ラベンダーが自分を守る“防御成分”をあまり作らなくていいから。
また、高原特有の乾燥した気候や日照条件も、香り成分の構成に影響するのだそうです。
一方、低地で育つラベンダーは「カンファー(樟脳成分)」を多く含み、防虫効果の高いシャープな香りに。
こちらは虫よけなどの作用が強く、すっきりとした印象を与えてくれます。
目的に合わせて、ラベンダーを“選ぶ”
私は以前、「ラベンダー=全部リラックスに効く香り」と思っていました。
でも実は、それぞれに特性があり、“目的によって選ぶ”ことが大切なんですね。
たとえば…
目的 おすすめのラベンダー 主な成分 香りの特徴
◎ リラックスしたい 高地ラベンダー(例:フランス、ブルガリア) 酢酸リナリル 甘くやわらか
◎ 虫よけ、すっきり気分転換 低地ラベンダー(例:スペイン産、ラバンジン種) カンファー 清涼感、シャープ
成分表記がある精油を選ぶときは、「酢酸リナリル」や「カンファー」の含有量を見てみると、より自分に合った香りに出会いやすくなります。
香りを“知る”ことは、自分の感覚を大切にすること
40代になると、心や体が微妙に変化しやすくなりますよね。
以前は気にならなかった香りが、疲れている日は重く感じたり、逆に元気をもらえたり。
だからこそ、「香りを知る」ことは、自分の感覚を尊重することでもあると私は思っています。
自分に合う香りを選ぶことは、自分を丁寧に扱う時間でもあります。
私がラベンダーを選ぶときに大切にしていること
◎ 産地や標高を見る
(例:標高800m以上のブルガリア産などは穏やかな香りが多い)
◎ 成分表を確認して選ぶ
(酢酸リナリルが多いものは、リラックスしたい夜に)
まずは香りを“自分の感覚”で試す
ラベルよりも、自分の心と体がどう反応するかを大切に。
「知ること」で、選ぶ楽しさが増えていく
香りは目に見えないけれど、私たちの心と体にやさしく働きかけてくれる自然の力。
その背景にあるストーリーを知ることで、より深く香りとつながることができます。
「ただの香り」ではなく、今の私に必要な香りを選べるようになること。
それはきっと、年齢を重ねた今だからこそ味わえる“整える時間”なのかもしれません。