表参道にあった頃、何度も通った場所があります。
それがクレヨンハウス。
絵本とオーガニックのぬくもりに満ちた、子どもも大人も安心して過ごせる空間でした。
思い返すと、たくさんの思い出が詰まっています。
友人と一緒に絵本のページをめくりながら、「これ、あの子にぴったりだね」と選んだあの日。
また別の友人の子どもへの贈り物を探しながら、おもちゃコーナーを何度も往復した時間。
そして、家族と大きな木のテーブルで自然食のごはんを囲んだ、ゆったりとした昼下がり。
あの場所には、自分と大切な人たちの時間が、静かに重なるようなあたたかさがありました。
クレヨンハウスのはじまりと、変わらない想い
クレヨンハウスが誕生したのは、1976年の表参道。
「子どもと家族にやさしい場所を」という想いのもと、絵本とオーガニック食材、自然派のコスメなどを揃えたユニークなお店でした。
1986年には北青山に移転し、4階建ての専門店に進化。
その後も、「女性」「子ども」「オーガニック」を大切に、選び抜かれた商品やサービスを提供し続けました。
1992年にはレストラン「広場」がオープンし、自然食を囲むあのテーブルは、親子の笑顔をたくさん見守ってきたのだと思います。
私自身も、あの木のぬくもりに何度も救われました。
吉祥寺へ移転。新しいけれど、変わらない空気
そして2022年12月、長年の表参道での営業を終え、クレヨンハウスは吉祥寺へと移転しました。
新しい店舗は井の頭公園の近く。街の賑わいのすぐそばに、木々の揺れる自然と、静けさが共存する場所です。
親子連れにやさしいバリアフリー設計や、授乳室・多目的トイレも整い、オーガニック食品や絵本、木のおもちゃも充実。
表参道で感じていた「やさしさ」は、かたちを変えながら、ちゃんとここに息づいていました。
家族のかたちが少し変化してきた今、私にとってのクレヨンハウス
かつてのように子どもを連れて訪れる機会は少なくなりましたが、家族のかたちが少し変化してきた今、クレヨンハウスはまた違うかたちで、私の暮らしに寄り添ってくれています。
絵本をプレゼントする相手が、今は友人の子どもや職場の同僚の赤ちゃんになったように。
オーガニックのスキンケアや調味料を選ぶときに、「私のために」丁寧に選ぶ時間を持てるようになったように。
クレヨンハウスは、忙しい毎日の中に、深呼吸を届けてくれるような場所。
40代になった今、整える暮らしを意識しながら、自分の感性を大切にしたい私にとって、ぴったりの拠点です。
変わっても、変わらないもの
表参道で過ごしたあの時間も、吉祥寺で新たに感じるやさしさも、根っこにあるのはきっと同じ。
「子どもと家族にやさしい」という、ぶれない理念。
そして、忙しい日々のなかで、そっと立ち止まる場所があることの大切さ。
私にとってのクレヨンハウスは、そんな“変わらない安心”を感じさせてくれる、大切な場所です。
吉祥寺という新しい環境で、また新しい思い出を重ねながら。
この先も、心と暮らしを整えるヒントに出会える場所として、そっと通い続けたいと思っています。