日々を丁寧に生きているつもりでも、ふと「ヒヤッ」とする瞬間や、「あれ、ちょっとおかしいかも」と思うことってありますよね。
その違和感を見逃さずにいられるかどうかが、未来を変える小さな鍵になるかもしれません。
そんな気づきを与えてくれるのが、「ハインリッヒの法則」という考え方です。
ハインリッヒの法則ってなに?
1931年、アメリカの保険会社で働いていたハーバート・ハインリッヒという人物が、労働災害のデータをもとに導き出した法則があります。
それが有名な「1:29:300」という比率。
これは、「1件の重大な事故の前には、29件の軽い事故、さらにその背景には300件の“ヒヤリとするような出来事(ヒヤリ・ハット)”がある」という内容です。
つまり、大きな問題は、ある日突然起きるのではなく、小さな違和感や見逃されがちなミスが積み重なって生まれるということ。
とてもシンプルですが、私たちの暮らしの中にも当てはまる気がしませんか?
暮らしの中にも潜む「ヒヤリ・ハット」
たとえば…
● 台所でうっかり包丁を落としかけた
● 出かける前に、火を消したか心配になる
● 子どもが何度も同じところでつまずく
こうした「ちょっと気になること」が積み重なっていくと、思いもよらないトラブルに繋がることがあります。
でも、その前に気づければ、心にも暮らしにも“安全のゆとり”を取り戻せますよね。
ことわざのように親しまれる理由
「ハインリッヒの法則」は、もともとは統計的なデータ分析に基づいた理論ですが、今では“安全の教訓”として、ことわざのように使われることも増えてきました。
たとえば、
◎ 「小さな火種が大火事になる」
◎ 「石橋を叩いて渡る」
◎ 「転ばぬ先の杖」
…そんなことわざのように、日々の小さなサインに気づく大切さを、やさしく教えてくれるのです。
気をつけたいのは「言い過ぎない」こと
ただし、あまりに比率だけを強調してしまうと、「全部のヒヤリが事故に繋がるの?」と、かえって不安を煽ってしまうことも。
大切なのは、「小さな出来事を軽く見ないこと」であって、「必要以上に不安になること」ではありません。
特に、家族や職場など、誰かと一緒に過ごす時間が多い方は、やさしい声かけや、安心感のある伝え方を意識するだけでも、空気が柔らかくなるはずです。
私時間を守るヒントとしての「法則」
「ハインリッヒの法則」は、何かを強く戒めるためのものではありません。
むしろ、「ちょっと立ち止まる」「あれ?と思ったことを、そのままにしない」――
そんな小さな積み重ねが、自分の時間を穏やかに守ってくれるのだと思います。
40代からの私時間は、何かと忙しさや責任に追われがち。
でも、「ヒヤリ」とした瞬間にこそ、心のリセットボタンがあるのかもしれませんね。
心にも「ヒヤリ」をキャッチする感度を
ハインリッヒの法則は、単なる安全管理の数字ではなく、私たちの暮らしや心の動きにも通じる深い気づきの言葉です。
小さな違和感を大切にしながら、自分にも、周りにもやさしくなれる。
そんな「気づきの感度」を育てる時間として、この法則を心に留めてみてはいかがでしょうか。
心地よい暮らしとは、安心できる毎日の積み重ね。
その始まりは、たった一つの“気づき”からかもしれません。