「自然に、逆らわずに生きるってどういうことだろう?」
40代に入り、心や体にちょっとした“揺らぎ”を感じることが増えてきました。
昔のように無理がきかない、でも立ち止まるのも怖い――。
そんな時、ふと立ち止まって考えるようになったのが「自然と調和する暮らし方」でした。
この連載では、青森県のリンゴ農家・木村秋則さんの生き方をヒントに、
現代に生きる私たちが「整える」ための視点を探っていきます。
3回シリーズの初回は、木村さんの原点とも言える
“自然を信じる力”について、私なりに感じたことを綴ってみたいと思います。
11年間実をつけなかったリンゴの木とともに
木村秋則さんは、青森県弘前市のリンゴ農家。
かつては誰もが「農薬なしでは育たない」と信じて疑わなかったリンゴ栽培において、
無農薬・無肥料・草も刈らない自然栽培に挑んだことで知られています。
ある出来事をきっかけに「安心して食べられるリンゴをつくりたい」と一念発起。
しかし、周囲の反応は冷ややかで、理解者はほとんどいませんでした。
しかも、そこから11年間、1つもリンゴの実がならなかったのです。
収穫はゼロ。収入も絶え、生活は困窮を極めました。
それでも木村さんは諦めず、自然のリズムに身を委ね、リンゴの木を信じ続けました。
「奇跡のリンゴ」が実を結んだ理由
やがて11年目、
誰もが「無理だ」と言った木に、奇跡のようにリンゴが実ったのです。
その背景にあったのは、
土壌にすむ微生物や菌根菌との共生環境を取り戻すこと。
人間が自然の営みに余計な手を加えず、
「見守る農業」を続けたことで、木は本来の力を発揮できたのだといいます。
私が心を打たれたのは、
木村さんの“自然に任せる”姿勢は、「放置」ではなかったということ。
目には見えないけれど、確かに「育てている」
そんな感覚が、40代の今の自分の暮らしにも重なりました。
信じて、育つものがある
木村さんの畑では草も刈らず、虫もそのまま。
でも、だからこそ自然界のバランスが整い、結果的に病害虫も減ったといいます。
この話を初めて知ったとき、私は衝撃を受けました。
「何もしないことで、豊かさが生まれることがあるんだ」と。
私たちの体も、心も、もしかすると同じかもしれません。
無理に何かを“治そう”“変えよう”とせず、
少しだけ立ち止まって、整う力を信じてあげる。
そんな余白が、年齢を重ねた今だからこそ大切に思えるのです。
あなたは今、何を信じていますか?
変化がゆっくりでも、結果がすぐに見えなくても、
“信じて待つ”ことの強さを、木村さんは教えてくれました。
自然の中には、目に見えないけれど確かな力が流れています。
そして、私たちの中にも、同じように静かな力があるのだと思います。
「今、あなたは何かを“信じる時間”を持っていますか?」
忙しい日々の中で、ほんの少し、
心のスペースを整える時間を持ってみてくださいね。
三部作 連載のご案内
このコラムは「自然と調和する暮らし方」シリーズとして、
木村秋則さんの思想やリンゴを通じて、
心と体が整っていく感覚を、全3回にわたり綴っていきます。
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