雑草って、案外やさしい。― よい雑草と暮らす、自然に寄り添う庭づくり ―

①【暮らしと備え】

庭先やベランダにふと目を向けたとき、そこに生えている“雑草”が気になることはありませんか?

「抜かなきゃ…」「手入れしなくちゃ…」

そんなふうに思っていたのに、よくよく見てみると、
小さな花を咲かせていたり、風にそよぐ姿がかわいかったり、
どこかで見たことがある名前の草だったりすることがあります。

最近ふと感じるのは、雑草って、なんだか人間みたいだなということ。

環境の中で懸命に生きて、踏まれてもまた立ち上がって、
誰にも気づかれなくても、そこにちゃんと意味がある。

今日はそんな、「よい雑草」たちと、私たちの暮らしとのやさしい関係についてお話ししたいと思います。

雑草=悪者、じゃない。

私たちが「雑草」と呼んでいる草の中には、
人間や自然にとってプラスの役割を果たす草たちがたくさんあります。

それらは「よい雑草」と呼ばれ、以下のような力を持っています。

◎ 土を守るちから

雑草は、地面を覆って雨風による土の流出を防いでくれる存在。
特に「オオバコ」などは踏まれても枯れにくく、土を固定する力があります。

また、深く根を張る草は、地中から栄養や水分を引き上げてくれる役目も。

◎ 微生物を育む

根が張ることで土中の微生物が活性化し、植物全体の育ちを助けてくれます。
これは“目に見えないサポーター”のような存在です。

◎ 生態系を支える

花を咲かせる雑草は、虫たちの大切な食料源にもなります。
とくにハコベやツユクサは、春の訪れとともに庭に彩りを添えてくれる存在。

それはまるで、「ここにも命があるよ」とそっと教えてくれているようです。

雑草って、人間みたい。

生えた場所を選ばず、
風にゆられても、踏まれても、しっかり根を張って、
誰に言われなくても“そこに在る”意味を持っている。

そんな雑草の姿に、自分を重ねてしまうことがあります。

年齢を重ねて、いろんなことがうまくいかなかった日でも、
自然の中で生きている草たちは、静かに、強く、美しく立っている。

「そんなふうに、私もなりたいな」と思わせてくれる存在です。

暮らしの中で活かせる「よい雑草」たち

雑草名特徴・利用方法
ツユクサ柔らかな青い花が印象的。 染料・薬用・食用にもなる万能草。
ハコベ春の七草のひとつ。味にクセがなく食べやすい。若い葉や茎、花、蕾を食用に。春から秋まで見られ、小鳥の餌にも。生薬名は「繁縷(はんろう)」で胃腸薬や皮膚炎の治療に用いられた。犬猫の食材としても安全。塩ゆであく抜き調理。
オオバコ踏まれてもへこたれない強靭な根で土壌を守る力が高い。泥炭の代わりや薬草としても使われる。
ドクダミ独特の香りと強い生命力。昔から薬草として利用。肌のトラブルや解毒作用などに用いられる。

これらは、無理に抜かず、あえて共に暮らす選択をしてもいい草たち。
雑草というより「野の草」と呼んだ方がしっくりきます。

よい雑草と暮らす庭のつくりかた

「整える」のではなく、「整っていく」庭づくりへ。

◎ グラウンドカバーとして活用

雑草を残しておくことで、地面の乾燥を防ぎ、他の草花の成長もサポートします。

◎ 刈った雑草で土を守る

成長点を残して雑草を刈り、それを地面に敷けば、有機マルチングに。
自然の循環が、目に見えるかたちで庭に現れます。

◎ “ほどよく”残す

すべてを抜いてしまうのではなく、「ここはこのままでいいかな」と思える場所を残す。
それだけで、庭の空気が変わります。

雑草と共に、自分らしく生きる

40代の今、
完璧な庭より、少しだけ自然にまかせた庭のほうが、
なんだか居心地がよく感じられます。

そして、そこに生きる雑草たちは、
私にとって“静かな味方”のような存在。

今日、ちょっと疲れてしまったあなたも、
庭の片隅に目を向けてみませんか?

そこに咲いている小さな雑草は、
踏まれても、折れても、ちゃんと立ち上がって、
あなたにそっと、何かを伝えてくれるかもしれません。

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