「もう新しいことなんて、覚えられないよ」
40代になってから、ふと口にしてしまう言葉です。
でも一方で、「もっと深く知りたい」「今だからこそ学び直したい」と感じる場面も、少しずつ増えてきました。
今回ご紹介したいのは、学問の神として全国の天満宮に祀られている 菅原道真公(すがわらのみちざねこう)。
単に知識を身につけるだけでなく、「学ぶ姿勢そのもの」が人生を豊かにしてくれるということを、道真公の人生から改めて感じています。
菅原道真公とは?― 学問の神が教えてくれる、学ぶ意味
菅原道真公は、平安時代の政治家・学者・詩人として知られる人物です。幼いころから聡明で、詩や漢学に秀でていた彼は、学問の力で朝廷でも重用され、右大臣にまで上り詰めました。
しかし、政争に巻き込まれ、無実の罪で九州・太宰府に左遷されます。
その地で無念のうちに亡くなった道真公は、後に「天満大自在天神(てんまんだいじざいてんじん)」として全国の天満宮で祀られるようになり、「学問の神」として多くの人々に親しまれる存在になりました。
道真公が教えてくれるのは、「学びとは、知識だけでなく心を育てる行為」だということ。
感性を磨き、謙虚に自分を見つめ、人生から学び続けること。それこそが、年齢を重ねた今の私たちにも必要な“学びの在り方”ではないでしょうか。
「学び」は学校の中だけじゃない。日常こそ、知恵が育つ場所
学ぶことは、学生の頃だけの特権ではありません。
40代の今、むしろ「経験と失敗」こそが、最良の先生だと感じることが増えました。
◎ 失敗して、はじめて気づけたこと
◎ 人の言葉に傷ついて、自分のあり方を見直したこと
◎ 長年の思い込みを手放して、楽になれた瞬間
これらはすべて、“人生からの学び”です。
そして、こうした気づきを「知恵」として自分の中に落とし込めるのは、大人になったからこその力だと思うのです。
日常で育てる「学ぶ心」3つの実践ヒント
道真公の精神を、暮らしの中に生かすなら、私は次の3つの習慣を大切にしています。
① 感じたことをメモに残す
・朝のひらめき、読書の一文、人との会話からの気づき
・スマホでも紙でもOK。書き留めることで学びが定着します
② 失敗したことから、ひとつだけ学ぶ
・落ち込んで終わらずに、「何が足りなかったか」を静かに見つめる
・反省ではなく、前に進むための“観察”として
③ 知性と感性の両方を育てる
・本や学びだけでなく、音楽や自然、美術や香りも大切に
・“感じる力”を持ち続けることで、自分らしさが磨かれる
40代からの“学び直し”は、人生を深く味わうためにある
学びとは、「賢くなること」ではなく、「よりよく生きること」だと、私は思います。
40代になって、若い頃のように一夜漬けはできないけれど、
一つひとつの言葉や経験が、心の奥にじんわりと染みこむようになりました。
それはきっと、人生の積み重ねがあってこそ。
焦らなくていい、答えを急がなくていい。
大人の学びは、「味わうように深まっていく」ものなのだと思います。
道真公に学ぶ、謙虚に、でも誇りを持って生きる姿勢
菅原道真公は、学び続けた人であると同時に、
最後まで“心を折らず、自分の信念を守った人”でもありました。
たとえ誤解されても、環境が変わっても、学びをやめなかったその姿に、
私は「学ぶことは、生き方そのものだ」と思わされます。
そして40代からは、「学ぶことで、自分を育てなおす」ような感覚があります。
知識だけでなく、感性や経験、そして失敗までも、味方にしていけたら——
人生はもっと静かに、そしてしなやかに輝いていくはずです。

