40代になって、ふと立ち止まる瞬間が増えました。
働くこと、評価されること、役職に就くこと―
どれも若い頃はまっすぐに憧れていたけれど、今は少し違う景色が見えるようになってきた気がします。
今回は、「ピーターの法則」という少し風変わりなビジネス理論をヒントに、私自身がキャリアとどう向き合い、心をどう整えてきたのかをお話ししたいと思います。
ピーターの法則とは?
「ピーターの法則」とは、組織の中で人は能力の限界まで昇進し、最終的には“適性のないポジション”に到達してしまう、という皮肉を込めた理論です。
一見ネガティブに聞こえるかもしれませんが、私はこの法則を知ったときに、ふっと肩の力が抜けた気がしました。
「上を目指さなければ」「期待に応えなければ」と思い込んでいた自分にとって、それはひとつの“許し”でもあったからです。
昇進=成功、とは限らない
若い頃は「昇進」や「ステップアップ」が働く理由のように感じていました。
けれど、昇進したからといって、すぐに仕事が充実するわけでも、心が満たされるわけでもない。
むしろ責任の重さや人間関係の複雑さに、息が詰まってしまうこともありました。
40代の今、私が大切にしているのは「昇進したかどうか」ではなく、「自分の力が心地よく発揮できているかどうか」。
日々の仕事の中に、納得できる時間があるかどうかです。
私らしいキャリアバランスの整え方
ここからは、私が実践している「納得感ある働き方」のヒントをいくつかご紹介します。
① “自分の適量”を知る
どんなにやりがいがあっても、仕事が自分のキャパシティを超えると、心と体はすぐに疲れてしまいます。
私は「がんばればできる」ではなく、「無理なく続けられるか」を基準に、受ける仕事を見極めるようにしています。
② 昇進にこだわらない選択肢を持つ
評価されることはうれしい。でも、「自分に合っていない」と感じる役割なら、無理に引き受けない勇気も必要です。
昇進が自分の幸せに直結するとは限らないことを、経験から学びました。
③ 役割を“整える”意識を持つ
自分の得意分野を活かせるように業務を調整したり、周囲に相談してサポートを依頼したり。
肩書きではなく、日々の仕事の中で「私らしさ」を出せる形に整えることを心がけています。
④ 仕事以外の時間を豊かにする
キャリアだけが人生のすべてではありません。
私にとっての「私時間」は、心と暮らしを整える大切な土台。
読書や料理、散歩、家族との会話など、シンプルな時間の積み重ねが、結果的に仕事へのエネルギーにもなっています。
今日からできる“納得感”の育て方
◎ 「私は本当にこれを望んでいる?」と自分に問いかけてみる
◎ 仕事における「心地よい負荷」と「しんどい負荷」を書き出してみる
◎ 自分の役割を“がんばりすぎない形”に調整してみる
◎ 昇進や評価より、日々の実感や手応えを大切にする
◎ オフの時間に「私を整える習慣」を持つ
◎ 新しい視点で、働き方と心を整える
「もっと上を目指さなきゃ」「期待に応えなきゃ」と自分を追い込みすぎるのではなく、
「今の私にちょうどいい働き方ってなんだろう?」と問い直す時間を、40代の今こそ大切にしたいと思います。
ピーターの法則は、昇進や出世を否定する理論ではありません。
ただ、周囲の評価や肩書きではなく、“自分の納得感”という軸を持ってキャリアを選ぶことの大切さを教えてくれます。
「私らしく働き、私らしく整える」―
そのための視点と習慣を、これからもひとつずつ育てていけたらと思います。

