今回から新しく始まるシリーズ
「惑星に導かれる私時間 ― 宇宙と暮らしをつなぐ8つの旅」では、
8つの惑星をテーマに、
天文学と占星術の視点からひもとく“心地よい整え方”を、
全8回にわたってお届けしていきます。
日々の暮らしの中に、
ほんの少しだけ「宇宙のリズム」を取り入れてみる。
それは、40代からの私時間をより深く味わうための、新しい視点になるかもしれません。
―その第1回は、「水星(マーキュリー)」です。
太陽のすぐそばをめぐり、誰よりも速く走る惑星。
水星は、情報や言葉、そして“思考の流れ”を整えるヒントをくれます。
天文学としての水星
水星は、太陽に最も近い惑星。
公転周期はたったの88日と、地球の4分の1ほどの速さで太陽を回っています。
太陽のすぐそばにあるため、夜空では長く見られず、
日の出前か、日の入り後のわずかな時間だけしか顔を出しません。
すぐに姿を消してしまうその特性は、まるで「走り抜ける使者」。
それでいて、常に太陽のそばに寄り添う―
そんな姿に、水星らしい“知性とスピード”の本質が見えてきます。
占星術としての水星 ― 知性・伝達・スピード
占星術では、水星は「思考」「言葉」「情報」「移動」を司る星。
コミュニケーション能力や分析力、学びの姿勢を象徴しています。
つまり、私たちの“考える力”や“伝える力”を支えてくれる存在。
でもそのスピードが速すぎると、
心が置いてきぼりになったり、情報に疲れたりすることもあります。
水星が教えてくれるのは、
「速く動くことよりも、伝えたいことを丁寧に整える」こと。
情報にあふれた時代だからこそ、
“自分の通信速度”を見直すことが、心の安定につながります。
40代の私時間と水星のリズム
40代になると、時間の流れの感じ方が変わります。
仕事や家庭、健康、将来―さまざまな情報が行き交う中で、
“忙しさ”をどう扱うかが、日々の心地よさを左右するようになります。
水星はその中で、
「立ち止まって考える」「ゆっくり伝える」ことの大切さを教えてくれる星。
スマホを置いて、静かにメモを取る。
メールを“すぐ返信する”より、“心で整えてから伝える”。
そんな小さな選択が、思考と感情をやさしく整えてくれます。
私も、1日の中で“言葉を減らす時間”をつくるようになりました。
その静けさの中でこそ、本当に伝えたい言葉が見えてくる気がします。
惑星からのメッセージ
速く動くことばかりが、豊かさではありません。
心の声を聞くために、あえて“ゆっくり考える”時間を持つこと。
それが、水星が教えてくれる知性のあり方です。
思考を急がず、言葉を選ぶ。
静けさの中で、あなたの中の“通信”を整える。
今日もその小さな一歩が、
新しい私時間の扉を開いてくれるはずです。

