40代になってから、食材の選び方が少しずつ変わってきました。
昔は「じゃがいもならなんでもいい」と思っていたのに、いまは料理の失敗を減らしたい気持ちや、胃腸へのやさしさ、台所にかけるエネルギーを上手に調整したい思いが強くなりました。
そんな中で気づいたのが、品種によって合う料理が全く違うこと、そして意外にも地域によってスーパーに並ぶ品種が違うことでした。
これは、日本の地域ごとにじゃがいもが育ちやすい気候や土壌があり、
その土地に合う品種が自然と多く流通しているからなのだそうです。
地域で変わる“じゃがいも事情”
たとえば北海道では、男爵・メークイン・キタアカリが広く育てられています。
寒暖差が大きい土地で育つため甘みがしっかりしていて、ホクホクのじゃがいもが豊富。
東北地方では、とうややキタアカリが多く、煮ものに向くじゃがいもが手に入りやすいそうです。
関西では甘みが強い「インカのめざめ」を見かけることも多く、少量でも満足感のある料理にぴったり。
九州は気候が比較的温暖なので、とうややキタアカリなど、育てやすい品種が中心に流通しています。
住む地域によって、いつものスーパーで“よく見る品種”に違いがある。
これは、「その土地の暮らしに合う食材が自然と選ばれている」ということでもあり、
私はこの“地域性”を知ってから、買い物がより楽しくなりました。
品種を知ると、料理が驚くほど簡単になる
じゃがいもは、品種ごとに向いている料理がはっきりあります。
〇 男爵
ホクホクで崩れやすい。
→ ポテトサラダ、コロッケ、粉ふきいも。
〇 メークイン
煮崩れしにくい。
→ 肉じゃが、カレー、シチュー。
〇 キタアカリ
甘みがあり風味が強い。
→ 蒸しじゃが、ポタージュ、バター煮。
〇 とうや
煮崩れに強く、揚げても美味しい。
→ ポトフ、フライドポテト、じゃがバター。
〇 インカのめざめ
甘さが強く少し特別感のある品種。
→ ローストポテト、蒸し焼き、シンプルな塩味。
料理を決めてから品種を選ぶと、
“なんとなくうまくいかない”
“煮くずれしてがっかり”
が減り、台所の小さなストレスがなくなります。
40代は、体の変化に合わせて「無駄なエネルギーを減らしたい」と思う年代。
だからこそ、食材の選び方を少し変えるだけで暮らし全体が楽になると実感します。
「今日の私」に合う品種を選ぶという小さな整え方
忙しい日は、煮崩れしにくいメークインで手早く煮物。
ゆっくり味わいたい日は、キタアカリを蒸してバターを落とすだけ。
疲れている日は、インカのめざめの甘みをそのまま楽しむ。
じゃがいもは、手をかけなくても満足感のある料理が作れる食材。
だからこそ、品種を知るだけで「今日の私に合う一皿」が自然と選べるようになります。
地域ごとの流通品種を知ることも、
品種ごとの向きを知ることも、
40代からの台所を無理なく整える、静かな工夫のひとつ。
「毎日の食事は特別じゃなくていい。ただ、私にやさしい選び方をしたい。」
そんな気持ちに寄り添ってくれるのが、実はじゃがいもの品種なのかもしれません。

