「私らしく働き、私らしく整える」40代からの“暮らしの中の法則”⑪― サンクコスト効果|「もう十分がんばった」の一歩が、未来を軽くする

②【生き方・考え方】

40代になると、働き方も暮らし方も“続けるか・やめるか”の選択に迷う瞬間が増えてきます。
若い頃は勢いで走り抜けられたことも、今の私たちにとっては、体力や気力の配分が大切なテーマになりました。
そんな中で知っておきたい心理法則のひとつが、サンクコスト効果(埋没費用効果)です。

サンクコストとは、すでに費やしてしまった時間・お金・労力のこと。
それが「もったいないから」「ここまでやったから」という理由で、本当は手放したほうがいいものまで抱え続けてしまう心理を指します。

40代の私たちは、まじめで頑張り屋で、「ここまでやったのに、やめるのは…」と自分を縛ってしまう場面が多いのかもしれません。
でも、本当に必要なのは、“続ける意志”よりも“手放す勇気”の方なのだと、私は年齢を重ねるほど感じるようになりました。

「続ける理由」が今の自分に合っているかを問い直す

続けてきた習慣、役割、人間関係、仕事、学び…。
それ自体が悪いわけではありません。
ただ、続けている理由が「過去の努力」だけになっていないかどうかを、40代の今こそ見直してもいいのだと思います。

私は最近、こんな問いを自分に投げかけています。

「これは、今の私を幸せにしている?」
「これを続けることで、未来の私は軽くなる?」

この問いを持つだけで、モヤモヤしていた物事との距離が自然と変わっていきました。

手放した瞬間より、その後の“呼吸の深さ”で気づくこと

サンクコストが働くと、手放す選択はとても難しく感じます。
でも、不思議なことに、本当に必要のないものを手放したときほど、翌日が楽になるのです。

私が手放して軽くなったものは、たとえば—

・なんとなく続けてきた習い事
・惰性で参加していた集まり
・胸のどこかで「もう違うかも」と感じていた仕事の役割
・効率より「続けてきたから」と引き受け続けていた家事のやり方

手放すのは一瞬の勇気だけれど、そのあと戻ってくるのは時間・心の余白・自由でした。
その余白が、小さな幸せや深い呼吸を運んできてくれる。
40代以降の暮らしに必要なのは、この“余白”なのだと思います。

手放しの基準は、“過去”ではなく“未来”

手放しを決めるときに私が意識している基準はたったひとつ。

「未来の私が笑っているほうを選ぶ」

過去に費やしたものを思うほど、続けたくなるのは自然なこと。
けれど、過去のために未来を犠牲にする必要はありません。

40代は、増やすより削ぎ落とすことで自分らしさが見えてくる時期。
仕事も家事も人間関係も、「続ける理由」が今の自分にフィットしなくなったら、そっと距離を置いても大丈夫です。

やめることは“失うこと”ではなく、新しい余白を迎えること。
その余白が、新しい出会いや、軽やかな働き方、穏やかな毎日へとつながっていきます。

「もう十分がんばった」の一言が、心を解放する

サンクコスト効果に気づくと、手放す決断は少しラクになります。
でも、最後の一歩を押してくれるのは、やっぱり自分自身の言葉です。

「もう十分がんばったよ」

この言葉を自分に向けてあげるだけで、心に優しいスペースが生まれます。
40代は、無理に踏ん張らなくてもいい時期。
続けるよりも、“やめてもいい”という選択肢を持つことが、私らしい働き方や暮らし方をつくります。

今日、迷っていることがあるなら、
過去ではなく未来を見る目で、そっと選び直してみてください。
その一歩が、これからのあなたの毎日を軽くしてくれます。

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