40代になってから、
人との関係の中で感じる疲れの正体が、
少しずつ見えるようになってきました。
それは、
相手そのものではなく、
**無意識にしていた「比較」**だったのだと思います。
そんなときに心に残ったのが、
八犬伝の最後の徳目、「悌」でした。
悌=上下ではなく“横の関係”
「悌」とは、
年長者が年少者思いやり、
年少者が年長者を敬う徳。
けれどそれは、
上下関係を強めるためのものではなく、
立場の違いを越えて支え合う姿勢を指しているように感じます。
犬飼現八が体現する悌も、
誰かより上に立つことではなく、
並んで歩く強さを持った徳でした。
40代の私たちにとっての悌も、
優劣をつけない関係性の中にこそ、
息のしやすさがあるのかもしれません。
比較が苦しかった頃
若い頃の私は、
気づかないうちに、
人と自分を比べていました。
仕事の進み方。
家庭のかたち。
人からの評価。
「私だけ遅れている気がする」
「もっと頑張らないと」
そんな思いが、
いつも心のどこかにありました。
比べることが当たり前になっていると、
誰かの成功が、
素直に喜べなくなってしまう。
そのことに気づいたとき、
私は少し、悲しくなりました。
私が選んだ距離感
40代に入ってから、
私は意識して、
比較が生まれやすい場所から
距離を取るようになりました。
すべてを知ろうとしない。
誰かのペースを、自分の基準にしない。
今の自分に必要な関係だけを、大切にする。
それは逃げではなく、
自分の心を守るための選択。
比べなくなった分、
人との関係は、
ずいぶん穏やかになりました。
支え合いは競争しない
悌が教えてくれるのは、
勝ち負けのない関係。
誰かを追い越すことでも、
追い越されることでもなく、
それぞれの場所で立っていられる安心感です。
支え合いとは、
同じ速さで進むことではなく、
違いを認めたまま、
関係を保つこと。
犬飼現八の姿からは、
そんな静かな強さを感じます。
40代の私時間は、静かに広がる
八つの徳を通して感じたのは、
40代の暮らしは、
何かを足すよりも、
余計な力を抜いていく時間なのだということ。
比べない。
競わない。
焦らない。
その分だけ、
自分の時間は、
静かに、でも確かに広がっていきます。
悌とは、
誰かと並んで立つことを許す徳。
そして同時に、
自分を他人と比べなくていいと、
そっと教えてくれる徳なのだと思います。
おわりに
年末年始という節目に、
この八犬伝シリーズを締めくくれることを、
とても嬉しく思います。
八つの徳は、
立派に生きるための教えではなく、
揺れながら暮らす私たちを、
そっと支える視点でした。
40代からの私時間は、
誰かと比べるための時間ではなく、
自分の歩幅で、
心地よく生きるための時間。
悌の教えとともに、
新しい一年も、
静かに整えていけたらと思います。
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