私が通う鍼灸院の先生から、東洋医学の視点で「腎」の大切さについて教わった話をお伝えします。これまで緑内障や乳腺症、肘の痛みなどの不調について取り上げてきましたが、今回は更年期後からの老年期に多いばね指や関節の痛みと「腎」との深い関係に触れてみたいと思います。
「腎」は生命力と水のバランスをつかさどる
東洋医学で言う「腎」は、私たちの体の生命エネルギーの源であり、水の代謝を管理しています。加齢とともにこの「腎」の働きが弱まると、体全体の潤いが減少しやすくなり、それが筋肉や関節の不調につながるのです。
先生によると、「腎」が弱ると「肝」へ潤いを十分に送れなくなります。「肝」は筋肉や筋を支えているため、潤いを失った筋肉は古くなった輪ゴムのように伸びたまま戻らなかったり、切れてしまうこともあるそうです。こうした状態がばね指や関節の痛みの一因なのです。
老化の身体変化に寄り添う東洋医学の考え方
40代を過ぎると、体のあちこちで変化を感じることが増えます。特に関節のこわばりや筋肉の張り、痛みは多くの人が経験するもの。西洋医学では痛み止めや注射などで対処することが多いですが、東洋医学は体全体のバランスを整えることで根本的な改善を目指します。
「腎」を補強することで、水分代謝やエネルギーの循環がよくなり、筋肉や関節の健康が保たれる。この視点は、年齢を重ねる私たちが無理なく自分らしく暮らしていくためのヒントになると感じています。
私が実践する「腎」補強のヒント
鍼灸院での施術は、体のエネルギーバランスを整え、「腎」をはじめとした内臓の働きを助ける役割があります。定期的な通院は体調管理の一環として取り入れていますが、日常生活でも「腎」を意識したケアが大切です。
東洋医学では、黒豆、黒ごま、山芋、クルミなどの黒い食材が「腎」を養うとされています。これらを食事に取り入れたり、適度な運動やストレスケアを心がけたりすることも効果的です。
また、水分補給も重要で、冷えすぎない白湯や温かいお茶で体を内側から潤すことも、腎機能を支えるポイントです。
老化を恐れず、自分のペースで整える暮らしへ
老化は誰にでも訪れる自然な変化ですが、心身のバランスを整えることでそのスピードをゆるやかにし、暮らしの質を保つことは可能です。
「腎」を補強する東洋医学の考え方は、単に病気の予防だけでなく、40代からの私たちが自分らしく輝くためのライフスタイルの一部として捉えたいものです。自分の体の声を聞きながら、無理なく続けられるケアを取り入れることで、これからの長い時間を心地よく過ごせると思います。
今後も東洋医学の知恵を活かしながら、私自身の経験や工夫も交えて、40代からの「私時間」と健康的な暮らしのヒントをお届けしますね。
【関連記事】
▷ 【40代からの更年期準備シリーズ】第6回:夏こそ“腎”をいたわる。黒い食材5つで、内側から整える私の習慣