「防災リュックは1つあれば十分」という思い込みが、案外危ういものだったと気づいたのは、実際に非常事態に備えて準備を進めていたとき。
避難所へ向かう「非常時」と、避難所で数日間暮らす「その後の日常」では、求められる備えがまるで違います。
そこで、私は2つのバッグに役割を分ける防災スタイルを採用することにしました。
① 非常用持ち出し袋(緊急時に逃げるための最小限の備え)
[目的]:命を守って、安全に避難所までたどりつくこと
[軽量さが最優先]:背負ってすぐ動けるリュックを選ぶ
[必要最小限の中身]
◎ 飲料水(500 ml × 2本)
◎ ホイッスル・LEDライト
◎ モバイルバッテリー・簡易トイレ(2〜3回分)
◎ 常備薬・絆創膏・軍手・マスク
◎ エネルギーバーやチョコレートなど即エネルギーになる食料
◎ 貴重品コピー(保険証・免許証等)、少額現金、家の鍵
◎ 予備靴下やサンダル(靴が使えないとき用)
ひとことで言えば、「災害発生から24時間以内、自分の命と連絡手段を守るため」の最低限セットです。重すぎると持ち出せない、軽すぎると必要なものが足りない…そのバランスを大切にしています。
② 避難生活用袋(数日間を暮らすための備え)
[目的]:避難所や車中などで少しでも快適な日常を整える
持ち運びやすさより、中身の充実を優先(キャリーバッグや大きめトートOK)
[実例]:私の避難生活用袋に入れているもの
◎ 衣類2日分(インナー上下・着替えできる服)
◎ タオル類(小・中サイズ 各3枚程度)
◎ サンダル、折りたたみスリッパ
◎ 洗顔シート・歯ブラシ・ウェットティッシュ
◎ 生理用品、消臭袋
◎ 保湿や整髪ケア用品、マスク
◎ 耳栓・アイマスク
◎ 心を整えるためのノートとペン、本やアロマ(香りの癒し)
◎ 食料:レトルト粥・スープ・シリアル・おやつ+軽量スプーン
◎ ミニ枕・軽量毛布(冬場なら使い捨てカイロを何枚か)
この袋は「生活をつくれるかどうか」が分かれ目。避難所で床に敷くだけ、着替えて座れる、甘いおやつでほっとできる…その日常の再現が、心に大きな安心をくれます。
なぜ2つに分けるのか?メリットとは
一緒にまとめない安心感:重く詰め込むと非常用が出せず慌てるリスクが。
[状況別の優先順位]:まずは逃げる/次に暮らす。それぞれに応じた準備ができる。
[実際の収納例]
◎ 非常用は玄関横にリュックで配置
◎ 避難生活用はクローゼット下にキャリーで収納
◎ バッグそれぞれに中身リスト(シンプルな表でもOK)を付けて見える化
“整える暮らし”とリンクする防災習慣
40代になって感じるのは、「整える暮らし=防災」ではないかということ。
◎ 日常の整えが、いざというときの判断力を支える
◎ 物理的にも心理的にも“分けること”“見える化”は自分を守る行動を育てる
◎ 無理なく続けられるから、定期的な見直しが自然とできる
事前に整えることで焦りを減らし、自分や大切な人を守る力が育ちます。
まとめ
◎ 非常用持ち出し袋(命を守り、避難所までの手段)
◎ 避難生活用袋(数日間を穏やかに過ごすための備え)
それぞれ別に準備することで、持ち出せる重さと、避難後の快適さを両立できます。
40代からの暮らしは、自分と家族への「判断と備え」が鍵。ふたつのバッグの備えが、その安心を日常に育ててくれます。