第4回:鍼灸師に学んだ薬膳と、目をいたわる食材の取り入れ方
40代で緑内障と診断された私が、鍼灸治療に出会うまで―目のケア体験記④
40代で緑内障と診断されてから、これまで「目のケア」をテーマに、鍼灸治療を続けてきた私の体験をお伝えしてきました。前回の第3回では、レーザー治療後の経過と、鍼灸との相乗効果についてお話しました。
今回は、鍼灸治療の先生に教えていただいた“薬膳の知恵”をきっかけに、緑内障予防に役立つ薬膳食材を紹介してみたいと思います。
鍼灸治療をきっかけに広がった「食」の視点
鍼灸治療を受けているある日、ふと、先生の診療室の玄関先に並べられた小さな袋入りの薬膳食材が目に留まりました。
きれいに並んだ袋の中には、見慣れない乾物や、ドライフルーツのようなものがいくつか。
「これ、何に使うんですか?」と何気なく聞いてみたことが、薬膳に興味を持つきっかけでした。
先生はにっこり笑って、「これは黒きくらげや枸杞(クコ)、なつめ など。目のケアにもいい食材なんですよ」と教えてくださり、さらに詳しく教えてくれました。
鍼灸で整えてもらった体を、毎日の食事でさらにサポートできたら…。
そう思った私は、そこから少しずつ薬膳を学び、食卓に取り入れるようになったのです。
薬膳ってなに? 東洋医学からのやさしい知恵
薬膳とは、東洋医学の考え方をもとに、その人の体質や季節に合わせて、食材を選び調理すること。
例えば…
体を「温める」「冷ます」
潤す、補う、巡らせる
といったように、食材それぞれが“薬”のような役割を果たしてくれます。
緑内障のケアにおいても、「目に良い食材」を意識することで、体全体の調和がとれて、自然と目も軽くなるような感覚を得るようになりました。
緑内障予防に役立つ薬膳食材たち
①白きくらげ(しろきくらげ)
体を潤し、乾燥から守る食材。
肺と腎を補い、目の乾きや疲れ、かすみ目に効果的と言われています。
ビタミンDや食物繊維も豊富で、抗酸化作用もあり、美肌にも◎。
おすすめレシピ:
・白きくらげとヨーグルトのデザート
・白きくらげときゅうりの中華サラダ
②黒きくらげ(くろきくらげ)
血液をサラサラにし、巡りを良くする作用があります。
目の毛細血管の血流改善や、眼圧の安定を図るうえで欠かせない存在です。
おすすめレシピ:
・黒きくらげと卵の炒め物
・黒きくらげの酢の物
乾燥タイプを戻して使うので、保存も便利です。
③竜眼(ロンガン)
血の巡りを促し、心を落ち着かせる食材。
眼精疲労の改善や、夜間の眼圧上昇を抑える助けにも。
おすすめレシピ:
・竜眼入りのお粥
・竜眼と枸杞のスープ(温め効果も)
④枸杞(クコ)
「目の健康=クコの実」というくらい有名な薬膳食材。
肝を補い、目の疲れや視力低下、眼圧の調整にも役立ちます。
おすすめレシピ:
・枸杞と鶏むね肉の薬膳スープ
・枸杞入りのサラダやスムージーにも
⑤なつめ
体を温め、血を補い、リラックス効果も高い食材。
眼圧に影響するストレスや睡眠の質にも良い影響を与えてくれます。
おすすめレシピ:
・なつめと生姜のスープ
・なつめ入りのおかゆやおやつ代わりに
日常に薬膳をやさしく取り入れるコツ
「薬膳」と言うと難しく感じますが、少しずつ日常に加えてみると、無理なく体調が整っていくのを実感できます。
小さな習慣が、きっと体の深いところに届いてくれるはずです。
鍼灸と薬膳で「目」と「暮らし」が変わってきた
鍼灸治療で目のケアを続ける中で、食事という「暮らしの土台」からも体を整える大切さを学びました。
薬膳は、“食べて心地よくなるケア”として、暮らしに彩りと安心をもたらしてくれる存在です。
これまでの鍼灸治療のおかげで、私の緑内障の眼圧は安定し、視界も徐々にクリアになってきています。医師からも目薬治療を続ける必要はなさそうだと告げられ、自然な形で目のケアを続けられることに安心感を感じています。
次回、第5回では、この緑内障の経過を振り返りながら、鍼灸師にとっても治療を受ける人にとっても大切なことについてお話ししたいと思います。
また、緑内障以外にも、胃腸の痛みや肘関節の痛みなど、40代の私たちが感じやすい体の不調に対して鍼灸がどのように役立つのか、日常に取り入れやすい方法とともに紹介していく予定です。どうぞお楽しみに。