物語の徳を、暮らしへ。八つの徳で整える、40代からの私時間:第6回|信(しん)× 犬村大角「信じる力は静か」

②【生き方・考え方】

40代になってから、
私は「すぐに結果を出そうとすること」に、
少し疲れを感じるようになりました。

若い頃は、
変化は早いほどいいと思っていたし、
努力は目に見える形で返ってくるものだと、
どこかで信じていました。

でも今は、
何も起きていないように見える時間こそ、
実はとても大切なのではないかと感じています。

そんなときに思い浮かんだのが、
八犬伝の徳目のひとつ、「信」でした。

信=疑わないことではない

「信」という言葉には、
強さや確かさのイメージがあります。

疑わないこと。
揺るがないこと。
最後まで信じ抜くこと。

けれど、
犬村大角が体現する「信」は、
もっと静かで、内向きなもののように感じます。

迷いながらも、
不安を抱えながらも、
それでも歩みを止めないこと。

信とは、
疑いを持たないことではなく、
揺れながらも手放さない姿勢なのかもしれません。

早く変わりたい焦り

40代に入ってから、
私はよく「このままでいいのかな」と
自分に問いかけるようになりました。

体の変化。
心の揺らぎ。
思うように進まないことへの焦り。

「早く整えたい」
「早く安心したい」

そんな気持ちが強くなるほど、
目に見える結果を求めてしまい、
今の自分を信じられなくなることもありました。

私が信じるようになったもの

最近の私は、
大きな変化よりも、
小さな積み重ねを信じるようになりました。

今日、無理をしなかったこと。
体の声に耳を傾けたこと。
立ち止まる選択をしたこと。

それらは派手ではありませんが、
確実に私を守ってくれていると感じます。

信じる対象が、
「未来の結果」から
「今の選択」へと変わったのです。

積み重ねが安心を生む

信は、
一瞬で生まれるものではありません。

毎日の小さな選択が、
少しずつ積み重なって、
「大丈夫」という感覚を育てていく。

結果が見えなくても、
変化を実感できなくても、
続けてきたという事実が、
静かな安心を連れてきてくれます。

それは、
声高に主張する信念ではなく、
暮らしの奥に根を張る信。

信は暮らしの土台

信とは、
自分を鼓舞するための言葉ではありません。

頑張り続けるための力でも、
不安を押し込めるための強さでもない。

信とは、
揺れる自分を含めて、
今の自分を預けられる場所。

40代の暮らしにおいて、
その土台があるだけで、
心はずいぶん落ち着きます。

まとめにかえて

信とは、
「すぐに答えが出なくても、歩き続ける力」。

そして40代の私は、
結果よりも、
自分の選択を信じることを選びました。

八犬伝の徳が教えてくれるのは、
立派に生きる方法ではなく、
揺れながら生きる私たちを
そっと支えてくれる視点なのだと思います。

物語の徳を、暮らしへ。
40代からの私時間は、
急がず、疑わず、
静かな信とともに整えていけたら。

それが、
今の私にとっての「信」です。

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