日本の神々と日常の知恵 Vol.13 ― 市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)に学ぶ|40代から育てたい感性と“調和美”のある暮らし

②<日本の神々シリーズ>

40代になってから、自分の感覚が少しずつ変わってきたのを感じます。
若い頃のように刺激的なものに惹かれるよりも、どこか静かで、調和のとれたものに心が動くようになりました。

たとえば、言葉の選び方。
部屋の音の響き方。
器の色と食材のバランス。

どれもほんの小さなことだけれど、「なんだか心地いい」と感じるものには、“見えない美しさ”が宿っている気がします。

今回ご紹介するのは、そんな“美しさ”と“感性の調和”を司る神さま、
市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)。
「弁天様」としても広く知られ、音楽や芸術、水の神として信仰されてきた女性神です。

市杵島姫命とは?

― 感性や美を司る、静かに整える女神の力

市杵島姫命は、日本神話に登場する「宗像三女神(むなかたさんじょしん)」のひと柱で、
主に音楽・芸術・水・言葉・財の神として親しまれてきました。

水のようにしなやかで、調和をもたらす存在。
そのエネルギーは、日々の暮らしに“感性の整い”を届けてくれます。

琵琶を手にした姿で描かれることも多く、音の響きや美しい所作、そして「女性らしい感性」の象徴として大切にされてきた神様です。

40代からの「美しさ」は、調和を感じる力から

40代になると、「美しさ」に対する価値観も変わってきます。
外側を飾るだけでは満たされなくなり、内側にある“感性の美しさ”に気づくようになる方も多いのではないでしょうか。

市杵島姫命が教えてくれるのは、
「調和が生み出す、美しさ」。

それは、例えばこんな形で日常に現れます。

◎ 部屋に漂う空気を整える

◎ 食器の並べ方に心を配る

◎ 使う言葉に、やさしさを込める

どれも特別なことではなく、「心を込める」ことで整っていく暮らし。

感性に耳をすませながら、自分の内側と外側の“バランス”を整えていく。
それが、40代からの豊かな女性性の育み方なのかもしれません。

市杵島姫命のエッセンスを暮らしに活かすヒント3つ

では、市杵島姫命のもつ“感性を整える力”を、どのように日常に取り入れていけるのでしょうか。
私が意識しているのは、次の3つの小さな習慣です。

① 言葉に、やわらかさを添える

日々のやり取りの中で、語尾を少しやさしくするだけでも、空気が変わります。

「〇〇してね」→「〇〇してみてね」

「了解」→「ありがとう、了解しました」

言葉にやわらかさを宿すと、不思議と自分の心も落ち着いていきます。

② 音で空間を整える

無音が落ち着く日もあれば、静かな音楽や自然音が心地よい日もあります。
市杵島姫命は“音の神様”でもあるので、音を意識的に選ぶことで、感性がゆるやかに整っていきます。

おすすめは、朝の時間に流すヒーリングミュージックや、夜の風鈴の音。
心がふっと整う瞬間が訪れます。

③ 視覚の“整え”を意識する

ふと視界に入る場所こそ、美しさを取り入れておきたい。

◎ テーブルに一輪の花を飾る

◎ 冷蔵庫の扉に、余白をつくる

◎ 使う食器を、お気に入りのものにする

「誰かのため」ではなく、「自分の心を整えるため」の小さな美意識を、大切にしたいと感じます。

感性を整えることは、自分にやさしくなること

市杵島姫命に触れていると、美しさとは“外に向けるもの”ではなく、“内側からにじみ出る調和”なのだと気づかされます。

◎ 日常を少し丁寧に扱うこと。
◎ 言葉にやわらかさを宿すこと。
◎ 空間に音や美しさを取り入れること。

そうした「目に見えない整え」が、自分自身の心にも静かな余白を生んでくれるのです。

感性は、年齢を重ねるごとに深く、やわらかく育っていきます。
市杵島姫命のような、静かで凛とした女性性を、暮らしの中でそっと育てていけたら—

40代からの私時間は、きっともっと心地よく、美しいものになっていくはずです。

タイトルとURLをコピーしました