日本の神々と日常の知恵 Vol.3|イザナギ・イザナミに学ぶ、終わりと始まりを受け入れる力

学び

40代。人生の折り返し地点を過ぎ、さまざまな変化が訪れる時期です。
家族構成が変わったり、体調や働き方にもゆるやかな変化が現れたり。
時には、思ってもみなかった“終わり”に直面することもあるでしょう。

そんなときに、そっと心に灯りをともしてくれるのが、
日本神話に登場する創造神 イザナギ大神とイザナミ大神 の物語です。

国生み神話に込められた「サイクル」

日本の国土や神々を生み出した、イザナギとイザナミ。
ふたりは最初の神夫婦として、「創造の象徴」とされています。

しかし、この物語にはもうひとつの側面が隠されています。
それは、“終わり”と“別れ”、そしてその先に訪れる“再生”の物語。

イザナミは火の神を産んだことで命を落とし、黄泉の国(死後の世界)へ旅立ちます。
愛する妻を追って黄泉へ向かったイザナギですが、そこで彼は変わり果てたイザナミの姿を目にしてしまい、地上へ逃げ帰ることになります。

喪失の先にある再生

地上へ戻ったイザナギは、川で「禊(みそぎ)」を行います。
心と身体を清めるその行為の中で、新たな神々が生まれました。

◇ 光を象徴する「アマテラス」
◇ 夜をつかさどる「ツクヨミ」
◇ そして、海と風の神「スサノオ」

喪失を受け入れ、悲しみを超えて「再生」へと向かう流れ。
それは、人生のあるタイミングで、誰もが経験するプロセスかもしれません。

40代は「新しい自分」と出会うとき

40代になると、変化の波は自然と訪れます。
◆ 親の介護や別れ
◆ 子育ての終わり
◆ キャリアの転換
◆ 身体の不調や気力の波

どれも、「今まで通り」が通じなくなる瞬間です。

けれど、それは終わりではなく、「新しい自分に出会う入口」。
イザナギの禊のように、人生の節目を迎えたときこそ、心を整え直し、
“またここから始める”という気持ちが必要です。

日常に活かす、神話の知恵

神話は、壮大な物語ではありますが、日々の暮らしのヒントにも満ちています。
イザナギ・イザナミの神話から、次のような視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。

◎ 別れや変化を、意味ある「節目」と捉える
「終わってしまった」と落ち込むのではなく、
「次の段階に進むための自然な流れ」と受け止めると、心が整います。

◎ 自分なりの「禊(みそぎ)」の習慣をもつ
・ひとりで散歩をする
・ノートに感情を書き出す
・新しい服や髪型に変えてみる
など、小さな「浄化」の時間が、次の一歩を後押ししてくれます。

◎ 小さな“創造”を楽しむ
神のように大きな何かを生み出さなくても、
日々の暮らしの中に創造性はあります。
・季節の野菜でつくる食卓
・香りを選んで整える部屋
・自分や家族に合わせてブレンドするハーブティ

「つくる」「整える」ことは、自分自身と世界とのつながりを感じさせてくれます。

“終わり”の先にこそ、豊かさがある

イザナギとイザナミの神話は、「創造」だけでなく「喪失」と「再生」をも描いています。

私たちの暮らしも同じ。
変化は避けられないけれど、その先に新しい価値や出会いが待っている。
40代の私たちにとって、それはきっと “自分らしさ”に気づく大切な時期です。

焦らず、無理せず、自分のペースで。

心を整えながら、今日も小さな「再スタート」を重ねていきましょう。

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