前回は、「ハーブティーと精油の違い」「植物療法を楽しむための基本」をお話ししました。今回は、さらに深めて、「精油がもつ“肝毒性”という視点」を一緒に見ていきたいと思います。40代だからこそ、体にやさしい習慣を選びたい。そんな私たちにとって知っておきたい視点です。
なぜ“肝臓”に精油が影響を?
肝臓は、私たちの体の中で「解毒」「代謝」「栄養の貯蔵」など、多くの役割を担っています。つまり、体に入るものが肝臓にとって“負荷”となると、健康な暮らしに影響を与えかねません。精油も「植物の成分をぎゅっと高濃度に抽出したもの」。その分、肝臓に“扱いづらい成分”として作用する可能性があります。
研究によれば、精油を含む植物由来成分でも、過剰あるいは誤用すると肝機能の変化が報告されています。
肝毒性が報告されている精油と注意点
以下の精油は、使用時に特に「肝臓への負担」を意識したいものです:
● レモン精油:誤飲により肝機能障害が報告されています。
● クローブ精油:その成分により、肝臓に負担をかける可能性が指摘されています。
● シナモン精油:シナモンアルデヒドを含み、肝毒性のリスクがあります。
● ユーカリ精油:過剰使用で肝臓に影響した例があります。
● オレガノ/タイム精油:成分の特性上、肝臓への負荷が大きめとされています。
いずれも刺激が強く、特に経口摂取や原液塗布は避けたいもの。肝臓は植物成分の解毒を担う臓器のため、過負荷になると体調を崩す原因にもなり得ます。
具体的な使い方・選び方のコツ
40代の私たちが植物の香りや自然療法を日々の“味方”にするには、小さな工夫が大きな安心につながります。
◎ 原液をそのまま肌に塗らないこと:たしかに「少し」なら大丈夫…と思いがちですが、肝臓にも影響する可能性があると知っておくと意識が変わります。
◎ 飲まない/内服しないこと:精油はそもそも飲用を想定していない雑貨扱い。肝機能への影響を考えると、さらに明確な「使わない選択」が安心を生みます。
◎ 成分をチェックすること:シナモンアルデヒド・フェノール類・テルペン類など、肝臓負担になりやすい成分を含む精油は“用途を限定して”使うのがおすすめ。
◎ 頻度・濃度を控えめに:香りを楽しみたい気持ちはわかりますが、「毎日・何滴も」が必ずしも良いわけではありません。体の声に耳を澄ますことが、40代ならでは。
◎ 体調・服薬・アルコール量を意識する:肝臓には日々の負荷も影響します。植物療法を取り入れるときは、“今日の体・環境”を見ながら選びましょう。
植物療法は“やさしさ”だけでは成立しない
精油は確かに、植物の力をぎゅっと閉じ込めた“自然の贈りもの”。でも「自然だから安心」と思い込むのではなく、きちんと知って、使い方を選ぶことが、“自分を整える暮らし”には大切です。
肝臓への配慮を忘れないことで、香りの暮らしは、40代の私たちにとって「無理なく」「心地よく」続く時間になります。植物の声にも、自分の体の声にも、ゆるやかに耳を傾けてみませんか。
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