日本の神々と日常の知恵 Vol.16 ― 木花咲耶姫命に学ぶ「一瞬の輝きに宿る潔さ」|“今”を咲ききる心の力

②<日本の神々シリーズ>

40代になって、人生のリズムが少しずつ変わり始めるのを感じませんか。仕事も家庭も役割も、これまでとは少し質が変化して、「次の季節」に向かっているような気配。そんなときこそ、今この瞬間に光を当てて、潔く、芯をもって咲ききる―そんな暮らし方が、静かに心に響きます。
今回フォーカスするのは、花のように一瞬の輝きを放つ女性の神、 木花咲耶姫命(このはなさくやひめ)に宿る「潔さ」と「芯の強さ」です。

木花咲耶姫命とは?

木花咲耶姫命は、桜や花の咲くような命の姿を象徴する神様。伝承では、富士山の女神としても知られ、花が咲き誇り、そして潔く散ってゆくような命の美しさと、命がけで真実を貫く芯の強さを併せ持っています。
夫である 瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)からの疑いを晴らすために、産屋に火を放ちながらも無垢を示したという逸話があり、そこには「命をかけて潔く生きる」という姿勢が映されています。

私たちの日常に活かす“潔さ”と“芯の強さ”

40代の季節は、積み重ねてきたものを手にしながら、新しい変化にも向き合う時期。だからこそ、過去にしがみつくのではなく、未来を怖れず、「今この瞬間」を精一杯生きる潔さが、心の軽さを育みます。
桜のように咲いて散る。その儚さの中にこそ、命の価値があります。木花咲耶姫命が示すのは、長く咲くことではなく、限られた時間の中で最高に咲くこと。
そしてその背後には、揺るがない「芯」があります。疑いや不安をものともせず、「これは私の命だ」「私らしく咲こう」という内なる信念があるからこそ、変化にも対応できるのです。

木花咲耶姫命の知恵を日常に取り入れる3つのヒント

ここからは、40代からの私時間にふさわしい、実践しやすい3つのヒントをご紹介します。

① 「今日は私らしく過ごす」と宣言する
 鏡の前で自分に向かって「今日は私らしく過ごそう」とつぶやってみてください。数分の意識で、心が“今”に向かい、ナチュラルに一日が始まります。

変化や終わりを、恐れず受け入れる
 人との別れ、役割の交代、物事の終わり―そんな“散る”瞬間にも、潔く過ごすことで、次の“咲く”準備が始まります。変化とは、終わりではなく、次の季節の入口です。

③ 季節の花を暮らしに取り入れて、“今”の価値を感じる
 部屋に一輪、さりげなく季節の花を飾りましょう。花が咲き、そして散る流れを目にすることで、“今この瞬間”に宿る美しさを日常で味わう習慣が生まれます。
 

40代の私時間に、咲ききる美しさを

木花咲耶姫命は、長く咲き続ける花ではありません。でも、その一瞬の輝きは強く、深く印象に残るものです。
40代の今、私たちもまた、長さではなく「質・瞬間」に目を向けていいのです。
過去の枠を手放し、未来を焦らず、今この瞬間に、自分の花を咲かせる。
そのとき、心には穏やかなしなやかさと、芯の静かな強さが宿っていることでしょう。
どうか、あなたの今日が、私時間としてほんの少し特別でありますように。
そして、あなた自身の花が、静かに、力強く咲ききりますように。

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