10年前、私が勤めていた職場に、40代半ばの女性の先輩がいました。
とても穏やかで優しい方で、仕事も丁寧。そんな彼女が、ある頃からよく「最近、頭痛がひどくて……」と話していたのを覚えています。
天気が悪い日や忙しい午後、こめかみを押さえてつらそうにしていた姿が、なぜか今も心に残っています。
当時の私はまだ30代前半で、「疲れてるのかな」「肩こりかな」くらいにしか思っていませんでした。
でも、自分が40代に入り、あの頃の先輩の気持ちが、少しずつわかるようになってきました。
更年期に起きやすい“ホルモン変化による頭痛”
40代半ばから始まる「更年期」は、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌が徐々に減っていく時期です。このホルモンの変化が、自律神経の乱れや血流の滞りを引き起こし、私たちの体にさまざまな不調をもたらします。
その一つが、「原因がはっきりしない頭痛」。
私自身、ここ数年でこんな変化を感じるようになりました。
● 朝は元気でも、午後になると頭が重くなる
● 気圧が下がる前にズキズキと痛み出す
● 首や肩のコリと頭痛がセットでやってくる
● 眠りが浅い翌日は頭がモヤモヤして働かない
周囲の友人たちも、「市販薬では効かない頭痛が増えた」「我慢できるけど、毎日はつらい」と話していて、共感の輪が広がっています。
「寝れば治る」は逆効果?私が見直した過ごし方
以前の私は、頭が痛いと「ちょっと横になれば楽になるかな」と寝ることが多くありました。
でも、実際には寝た後のほうが重だるくなることが増え、体全体のリズムが乱れてしまう日も。
調べてみると、偏頭痛やホルモン変化による頭痛は、寝ることで血流が滞って悪化するケースもあるそう。特に更年期は、体内リズムがデリケートになっているため、「寝すぎ」や「動かなさすぎ」が不調を長引かせる原因になることも。
私が見つけた、頭痛とつき合う“整えケア”習慣
そんな中で私が意識し始めたのは、「強く対処する」のではなく、「やさしく整える」ことでした。
◎ 温かい飲み物をゆっくり飲んで、体の中から温める
◎ 首と肩を軽く回して、血流を促す
◎ 耳をマッサージして、自律神経をゆるめる
◎ 気圧が不安定な日は、スケジュールをあえて詰め込まない
◎ 夜は静かな音楽とハーブティーで心身を落ち着かせる
このような“整える習慣”を少しずつ取り入れてから、「今日は頭が重くなりそう」と思う日でも、自分でコントロールできる感覚が増えてきました。
頭痛は、「自分をいたわる」ためのサイン
今思えば、あの頃の先輩も、自分の体の声に耳を傾けていたのかもしれません。
「また頭が痛い……」と落ち込むのではなく、「少しだけペースをゆるめて」と体が教えてくれている。
そう受け止めることで、心も体もふっと楽になる瞬間が増えました。
更年期は“我慢の時期”ではなく、“自分を整える時期”。
頭痛もまた、私たちをもっとやさしく生きる方向へ導いてくれる合図なのかもしれません。
今日も少し、頭が重たい。
そんな日は、予定を一つ手放して、
自分を少しだけ、いたわる日にしてみませんか。