「乳腺症ってご存じですか?」—そのひと言から、私の新しい整え習慣が始まりました
緑内障のケアで通っている鍼灸院。
施術が終わった帰りぎわ、私はふと先生に聞いてみました。
「先生、乳腺症ってご存じですか?」
その質問に対して、先生はこう答えてくれました。
「はい。実は以前、乳腺症の方の治療をしたことがありますよ。」
このひと言から、私の中にある“もうひとつの不調”への扉がそっと開いたのです。
「乳腺症です」と言われてから
2018年、乳がん検診で右胸にひっかかり、組織検査を受けた私は、乳がんではなく乳腺症と診断されました。
当時の安心と同時に、もう一つの現実が残りました。
それは、毎年の検診と、生理前のつらい“乳房のはり”とのつき合いです。
若い頃からずっとあったその症状が、ここ数年でより強く感じるようになり、気づけば「触れると硬く感じる部分」が気になっていました。
鍼灸師に胸を見せることへの“意外な気持ち”
先生に乳腺症のことを伝えると、その場でこう言われました。
「よろしければ、実際に胸の状態を見せていただけますか?」
正直、それをお願いされたときに「恥ずかしい」という気持ちはありませんでした。
信頼している先生だからこそ、「この不調も整えていけるかもしれない」という気持ちが自然と上回っていたのだと思います。
「右から左へ流す」という整え方
右胸には、触れるとコリコリとした硬さがありました。
先生はその感触を確かめながら、右胸・左胸それぞれにごく浅く鍼を打ち、
「右から左に流すように施術しますね」
と教えてくれました。
そして驚くことに、1回目の施術で、しこりのまわりがやわらかくゼリー状に変化したのをはっきりと感じました。
芯のような部分はまだ硬さが残っていたものの、「変わっていくかもしれない」という希望のような感覚が、ふわりと芽生えたのです。
「治してもらう」のではなく、「整えていく」
こうして、緑内障と並行して、乳腺症の鍼灸治療が始まりました。
鍼灸は、“治す”というより“整える”という感覚に近く、やさしくゆっくりと、でも確かに体が変わっていくのを感じます。
胸の不調は人に相談しにくいものですが、信頼できるプロの手にゆだねることで、心も軽くなることがあるのだと、この体験を通じて思いました。
これからも、“体と心をやさしく整える選択肢”として
乳腺症のような女性特有の不調は、年齢とともに変化しながらも、ずっと寄り添っていくテーマなのだと思います。
だからこそ、薬や治療だけでなく、「自然な回復力」を引き出す鍼灸のような手段が、私たちの暮らしにあることは、とても心強いこと。
これからも体の声に耳を傾けながら、「無理なく」「やさしく」「続けられる整え習慣」を、少しずつ見つけていきたいと思っています。