新しい場所に入るのが少し億劫になってきた
40代に入り、そんな気持ちになることが増えました。
若い頃のように、勢いと社交性だけで飛び込めなくなった反面、
今の自分の“心地よい距離感”を知っているからこそ、新しい場所に一歩踏み出すことが、少し慎重になっているのかもしれません。
でも最近、植物を育てている中でふと気づいたことがあります。
「株分け」や「植え替え」は、新しい環境に優しく自分をなじませるヒントになるのでは?と。
自分を“株分け”して、新しい場所に差し出す感覚
植物の株分けとは、育った株を優しく分けて、別の鉢に植える作業。
一つの命を分けながら、また新たな場所で育てていく、静かでやさしい循環です。
新しいコミュニティに入るとき、私たちも“全部の自分”をいきなり持ち込む必要はないと思うのです。
ほんの少し、自分の一部をそっと差し出してみる。
それが、私にとっての“株分け”でした。
◎ 話しかけてみる
◎ 会の中でひとつリアクションする
◎ 共感したことにだけ、少しだけ関心を寄せてみる
無理に馴染もうとしなくてもいい。
でも、「私はここにいますよ」と、静かに存在を伝える。
そんな“株分け”のような関わり方が、自分には合っていると感じるようになりました。
根づくために、最初の“水やり”が大切
植物を植え替えたあとは、最初の水やりが何より重要です。
たっぷり水をあげることで、根が新しい土としっかりなじみ、やがて安定して育ち始めます。
人間関係も同じ。
最初の「丁寧な関わり」や「ちいさな気配り」が、心を通わせるきっかけになります。
◎ 名前を覚えて声をかける
◎ 感謝を言葉にする
◎ 自分の話を少しだけ開いてみる
それは決して、大きな努力ではありません。
“ちょうどいい量の水”のように、少しの勇気と優しさで、関係はゆっくりと根づいていきます。
根づいたら、もう大丈夫
最初はぎこちなくて、空気を読むのに精一杯だった場所も、
気がつけば「自分らしく居られる場所」になっていた。
そんな経験、ありませんか?
根が張ってしまえば、あとはもう、その場の空気に自分をゆだねるだけ。
日常の中に、自然と馴染んでいきます。
無理して背伸びをしなくてもいい。
その場にちゃんと“根を張っている”という実感が、自信と安心感を与えてくれるのです。
40代からの“株分け”は、静かだけど力強い
人間関係の築き方も、暮らし方も、「こうしなければ」という正解はなくなってきました。
だからこそ、自分のペースで、自分のやり方で関わっていく。
40代はそんな“心地よい距離感”を持って、人生のあらゆる場所に関わっていける時期だと思っています。
新しい場所に行くのが不安なとき、私は植物のように「自分をそっと株分けして、新しい鉢に植える」感覚で、その一歩を踏み出します。
最初は水やりを忘れずに。
そして、焦らず、ゆっくり根づいていけたらいい。
40代からのコミュニティ参加は、ひとつの暮らしの延長として、静かに自分を整える行為なのかもしれません。

