地域で変わる“餅”と、40代が楽しむ冬の台所 — 価格高騰の冬に気づく、日本のお餅文化の奥深さ

③【食・オーガニック・健康食】

この冬、スーパーでお餅の値段を見て驚きました。
「え、こんなに高くなっているの…?」と、つい値札を二度見してしまうほど。
コメの価格高騰が続く中、冬によく食べる餅も例外ではないようです。

40代になって、食べる量は若い頃より減ったのに、
“ひと口の満足”や“心がほっとする味”としてお餅を選ぶ時間が増えました。
だからこそ、価格の変化は暮らしにじわりと影響してきます。

そんな中、ふと思ったのが—
「お餅って、地域によってこんなに違うんだ」
ということ。

以前書いた「じゃがいもの地域差」の記事が好評だったこともあり、
今回は“餅の地域性”に目を向けてみたいと思います。

地域で変わる“餅の形”

お正月の食卓で最も地域差が出るのが、餅の形。

東日本(関東・東北・中部の一部)
→ 四角い「角餅」が主流。

西日本(近畿・中国・四国・九州)
→ まるい「丸餅」が一般的。

境界線は「関ヶ原付近」と言われ、
岐阜・石川・福井・三重・和歌山では両方が使われています。

どちらが正しいとかではなく、
その土地の暮らしが自然と形を決めてきた—そんなおおらかさがあります。

素材から違う、土地に根づく餅文化

餅といえば白い米の餅を想像しがちですが、
実は地域によって材料そのものが変わります。

◎ 北海道の いももち(じゃがいも+でんぷん)
◎ 青森の べこもち(黒糖や小豆入り)
◎ 東北の そば串餅、きんか餅
◎ 香川の あん入り丸餅

米が貴重だった地域では、
その土地でとれる食材を組み合わせて“餅の形”が生まれてきました。

こうした地域性は、知るほど暮らしが楽しくなる小さな豆知識のようです。

各地の代表的な餅料理

地域主な餅料理
北海道いももち
青森べこもち
東北そば串餅、きんか餅
関東・中部雑煮は角餅。焼いて砂糖醤油で食べる家庭も多い
関西丸餅の白みそ雑煮
四国(香川)あん餅雑煮
九州丸餅。豆入りの餅や具だくさん雑煮など地域差が豊富

地域の食文化は、旅に出なくても“食卓の上”で味わえるものなのだと感じます。

雑煮に見る東西の味の違い

雑煮は、家庭の歴史がそのまま現れる料理。

東日本
→ 「角餅+すまし汁」が多い。

西日本
→ 「丸餅+白みそ」や「丸餅+すまし」などバリエーション豊富。

寒さの厳しい地域では塩気が効いた汁、
温暖な地域では甘みのある味噌仕立て—。
気候と味覚は深くつながっているのだとあらためて思います。

もともとは丸餅が主流だった日本

実は、古くから日本の主流は“丸餅”。

丸い形には
「円満」「調和」「太陽」「宇宙」
といった意味が込められ、
鏡餅のように神事でも丸い餅が使われてきました。

丸餅文化が西日本に多く残るのは、
神事や伝統を大切にしてきた土地柄も影響しています。

江戸時代に生まれた“角餅”という発明

角餅が広まったのは江戸時代。
人口の増加にともない、丸餅のように手で丸める作業では追いつかなくなり、
のし餅を板状にし、一度に切り分ける製法が誕生しました。

角餅は
◎ 保存しやすい
◎ 運びやすい
◎ 量産できる
ため、江戸の生活にぴったり合ったのです。

文化も暮らしも、“必要”から生まれることが多いのだと感じます。

西日本に丸餅が残った理由

京都・大阪などは祭事文化が強く、
「円満」「調和」を表す丸餅が重んじられました。

また山形の庄内地方など、北前船で関西文化が運ばれた地域にも丸餅文化が残っています。

餅の形の違いは、歴史の流れそのもの。
知るほど、食卓を見る目が変わります。

40代の台所で味わう“地域食”のたのしみ

じゃがいもも餅も、地域差を知ると選ぶ楽しさが増えます。

・丸餅の日
・角餅で手早く焼き餅の日
・甘い白みそ雑煮を試す日

ちょっとした選択の違いが、台所の気分転換にもなる。

40代は、無理なく続けられる“気分の整え方”が大切な時期。
日々のごはんは特別でなくていいけれど、
選ぶ楽しさがあると暮らしがふわっと軽くなります。

冬の食卓に並ぶ小さなお餅から、
日本の文化の豊かさを感じる—そんな季節も悪くないものです。

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