40代に入り、ふと立ち止まる時間が増えました。
家族、仕事、健康、これまで積み重ねてきた選択のどれも大切なのに、ふと胸の奥に“静かな疲れ”のような重さを感じることがありました。
その正体は、私の中に長いあいだ住みついていた 「こうあるべき」 という思い込みでした。
気づかないうちに、自分を苦しめていた“正しさ”
「ちゃんとしなければ」
「迷惑をかけてはいけない」
「頑張れて当然」
誰に言われたわけでもないのに、いつのまにか“正しさ”を自分の基準にしていた私は、できない日があるとすぐに落ち込み、少しのミスでも必要以上に自分を責めていました。
でもある日、ふと疑問が湧いたのです。
“その正しさは、本当に私を幸せにしている?”
答えは、静かに「NO」でした。
思い込みは、いつの間にか溜まっていく
40代になると、人生経験が増えたぶんだけ、
「できるはず」
「こうあるのが普通」
「みんな頑張っている」
という“積み重ねられた思い込み”も増えていきます。
それは決して悪いものではないけれど、
身につけた“正しさ”が今の私に合わなくなった時、心がぎゅっと締めつけられるように苦しくなる。
まるでサイズの合わなくなった洋服を、がんばって着続けているような感覚でした。
「思い込みを外す」とは、捨てることではなく“選び直す”こと
思い込みを外すと聞くと、大きな変化を想像しがちですが、実際はもっと静かで、もっと優しい作業でした。
私がやってみたのは、たったひとつ。
“本当にそう?”と、心に小さく問いかけること。
「毎日きちんと自炊しないといけない」
→ 本当に? 疲れた日は、温かいスープだけでも十分満たされるよね。
「いつも笑顔でいなきゃいけない」
→ 本当に? 悲しい日があるから、優しさが育つんじゃない?
「迷惑をかけてはいけない」
→ 本当に? 迷惑をかけることで分かり合える関係もあるよ。
ひとつひとつの思い込みに光を当てていくと、
その奥に隠れていた“本当の私の声”が、静かに姿を見せ始めました。
思い込みを外したら、暮らしが軽くなった
思い込みをひとつ外すたび、
肩にのっていた重さがストンと落ちていく。
それは劇的な変化ではなく、毎日の中で少しずつ積み重なる変化でした。
◎ 少しラクになったこと
・人と比べる時間が減った
・無理に頑張らなくても良い日が増えた
・「今日はこれで十分」と思えるようになった
・気分の波が緩やかになった
そして何より、
“今の自分が好きだ”
と思える瞬間が増えました。
私がずっと探していた“本当の私”は、思い込みの奥にずっといたのです。
40代は“本当の自分に戻る”タイミングだった
20代、30代は前に進む力が大きくて、
とにかく頑張って、走って、積み重ねてきた。
でも40代は少し違って、
“足りない自分を埋める”のではなく
“すでにあるものに気づき、整える” 時期なのだと思います。
背伸びしない、飾らない。
自分の声を聞き、自分を大切に扱うことが、
私にとっての“自分探し”になりました。
思い込みを外すことは、誰かになることではなく、
ずっと前からいた“本来の私”に戻る旅 だったのです。

