40代になってから、肌や心のゆらぎを感じる場面が少しずつ増えてきました。仕事や家事、ホルモンバランスの変化による不調。そんなとき私がたどり着いたのが、「植物の力で整える」セルフケア習慣。その中でも、昔ながらの外用薬「紫雲膏(しうんこう)」の原料として知られる紫根(しこん)に深く惹かれ、今回は紫根オイルを自宅で手作りしてみました。
紫雲膏とは? 紫根の薬効と歴史
紫雲膏は、紫根や当帰、ごま油、蜜蝋などを配合した日本の伝統的な外用薬。やけど・しもやけ・あかぎれ・湿疹・切り傷などの皮膚トラブルに使われてきた漢方軟膏です。
この紫雲膏の主成分「紫根」は、ムラサキ科の多年草「ムラサキ(学名:Lithospermum erythrorhizon)」の根で、赤紫色の色素「シコニン」を豊富に含みます。シコニンは抗炎症・抗菌・創傷治癒・美白・血行促進作用などがあり、肌荒れや日焼け後のケアにぴったりの植物成分です。
なぜ紫根オイルを手作りするのか?
今年の夏、家族の肌が日焼けで赤くなってしまったことをきっかけに「市販薬ではなく、できるだけ自然のものでケアしたい」と感じるようになりました。
紫根は、40代女性のゆらぎやすい肌やホルモンバランスを、やさしく整えてくれる“自然の処方箋”。一滴一滴をていねいに抽出する過程は、慌ただしい日々の中で静けさを取り戻す私の「整える時間」となりました。
紫根オイルの作り方
【材料】
◎ 紫根(乾燥):約5g
◎ マカダミアナッツオイル:50ml
(※ホホバオイルやオリーブオイルでも代用可)
◎ ガラスビーカーや耐熱容器
◎ 遮光瓶(保存用)
【作り方】
① 紫根を細かく刻み、オイルと一緒にビーカーに入れる
② 約60℃の湯煎で10〜15分ゆっくり加熱(焦げないよう注意)
③ 火を止めて冷ましたら、遮光瓶へ
④ 冷暗所に2〜3週間置き、じっくり成分を抽出
⑤ 最後にガーゼで濾せば完成!
※赤紫色のオイルは、衣服に色移りしやすいので取り扱いには注意を。私は古いTシャツとエプロンで作業しました。
実際に使ってみた感想
完成した紫根オイルは、植物らしいやさしい香り。日焼けで皮がむけた家族の肌に塗ってみると、数日で赤みがやわらぎ、しっとりとした肌へと変化しました。
私自身は、夜のスキンケアに数滴加え、顔や首まわりにやさしくなじませています。翌朝の肌がしっとりと落ち着いていて、心までも穏やかに整う感覚があるのです。香りと肌触りが、ちいさな「私時間」のリズムとなっています。
注意点と保存方法
紫根は自然素材のため、アレルギーのある方は必ずパッチテストを。
保存は冷暗所で行い、約1〜2ヶ月以内に使い切るのがおすすめです。
原材料の紫根は流通が限られ、絶滅危惧種に指定されることもある希少な植物。信頼できるハーブ専門店などから購入しましょう。
紫根オイルが教えてくれたこと
紫根オイルを自分の手で作ることで、私は「整える」という行為を再認識しました。丁寧に材料を選び、時間をかけて抽出し、日々のスキンケアに少しずつ取り入れる。こうした積み重ねが、肌も心もゆっくり整えてくれるように感じます。
40代からの暮らしにこそ、自然と向き合う時間と、自分をいたわる習慣を。紫根オイルは、そんな毎日にそっと寄り添ってくれる、小さな贈り物のような存在です。