週末の午後。
せわしない時間が一段落して、心に少し余白ができる日曜の午後は、私にとってちょっと特別な時間です。
毎週ではないけれど、ふと「行きたいね」と家族と足を運ぶのが、地元にあるレトロな喫茶店。
地下にひっそりとあるそのお店は、まるで時間がゆっくり流れているような空間です。
「急がなくていいよ」と言ってくれる場所
このお店を初めて訪れたのは2018年。知人に連れられて入ったのがきっかけでした。
それ以来、ずっと記憶に残っていたのですが、家族を初めて連れて行ったのは今年(2025年)の3月のこと。
年季の入ったインテリアに、変わらないメニュー。
地下にあるその空間は、「急がなくていいよ」と言ってくれているような、やさしい静けさをたたえています。
小さな出来事がつなぐ、心のやりとり
家族と何度か通うようになった春、ひとつの出来事がありました。
4月、物価高の影響もあってメニューの価格が数十円ずつ改定されたことに気づきました。
そんな中、ある日私たちはチーズケーキを注文し、伝票通りの金額で支払いを済ませました。
ところがそのあと、メニューと伝票の間に「20円」の差額があることに気づいたのです。
ちょうど口にしたばかりのチーズケーキ。
会計後にそのことを店主さんに伝えると、「あ、それは助かります」とすぐに反応してくださり、20円を返そうとしてくださいました。
でも私は、それをあえて受け取りませんでした。
それからしばらくして、再びお店を訪れたときのこと。
会計の際に店主さんが、「先日はありがとうございました。助かりました」と、静かに、でも確かに声をかけてくれたのです。
その日を境に、私たちはお店にとっての“顔なじみ”になりました。
家族と並んで座る、静かな幸せ
会話がたくさんある日もあれば、黙ってそれぞれ本を読んだり、ただコーヒーを飲んだりする日もあります。
気を遣わずにいられる関係だからこそ、何もしない時間を一緒に過ごせる心地よさがあるのかもしれません。
たとえば、シフォンケーキとチーズケーキを半分こして、コーヒーを飲みながら過ごす午後。
特別なことはないのに、「ああ、これが“しあわせ”だな」と思える瞬間が、確かにそこにあります。
日曜の午後は、「次の一週間を整えるための時間」
週明けに向けてやることはたくさんあるけれど、
「今」だけは、焦らず、追われず、ただ呼吸を整える。
そんな小さな習慣が、明日からの私にやさしさを取り戻してくれます。
忙しさの中にある「立ち止まる場所」
地元のレトロ喫茶店。
何も主張しない、けれどそっと迎えてくれるこの場所に、私は静かな信頼を寄せています。
40代になって、「派手な贅沢」よりも「静かな余白」に心が向くようになりました。
日曜の午後、喫茶店のやさしい時間に身をゆだねながら、
家族と一緒に過ごせる、小さな幸せを丁寧に味わっていきたいと思っています。