「いつか行こう」では、もう間に合わないかもしれない— 40代の私が気づいた、場所との向き合い方

気づき

「いつか行こう」
「また今度でいいかもしれない」

そうやって先延ばしにしていた場所が、
ある日突然、なくなっていることがあります。

最近、近所にあった有名なイタリアンレストランが、
ひっそりと閉店していました。
長く続いていた人気店だったのに、
張り紙ひとつで、その扉は閉ざされていたのです。

驚くと同時に、どこかぽっかりと穴があいたような感覚。
「行っておけばよかった」と、静かに思いました。

そんなふうに、“ずっとある”と思っていた場所が、気づけば消えている。
それは飲食店だけではなく、アートや文化にまつわる空間でも同じです。

原美術館の閉館が教えてくれたこと

東京・品川にあった原美術館も、私にとってかけがえのない場所でした。

静かな住宅街の中にある、洗練されたモダン建築。
展示内容はもちろん、建物全体がアートと調和していて、
訪れるたびに心が整っていくような、そんな場所。

特に何かをするわけではなく、
ただ歩き、佇み、静けさを味わうだけで満たされる。
そんな“居場所”だったのです。

ある日、何気なく検索してみたら、
2021年にすでに閉館していたことを知りました。

「しばらく行っていないな」と思っていたその間に、
もう、扉は閉じていたのです。

ずっとあると思っていた場所が、もうない。

その現実に、ゆっくりと心がざわめきました。

「会いに行くこと」も、暮らしの大切なひとつ

お店でも、美術館でも、旅先でも。
「好きだな」と思った場所には、
“また行ける”ではなく、“今、会いに行く”という選択が、
40代の今だからこそ大切だと感じます。

私たちの暮らしの中には、思った以上に「一時的なもの」がたくさんある。
でも、毎日が忙しいと、それに気づけないまま通り過ぎてしまうことも。

それでも、ほんの少し立ち止まって、
「行きたい」と思った場所には素直に向かってみる。
その行動が、心の満足感や、暮らしの深みに変わっていく気がしています。

好きなものは、「今」味わっておく

大好きだったブランドの直営店が、ある日閉店していたり。
通っていたカフェが、店主の体調で営業を終えていたり。
想像していたよりも、場所や人は流動的で、永遠ではありません。

だからこそ、「今」感じるときに、味わっておくこと。

40代になってからは、
「今、この瞬間に触れること」への意識が少しずつ高まりました。
それは、年齢を重ねることで“失われること”ではなく、
より深く、丁寧に味わえるようになったことのようにも感じています。

「いつか行く」を「今日、行ってみよう」へ

予定に追われ、やることに追われる日々。
それでも、自分の中にふっと湧き上がる
「行きたい」という気持ちは、何かのサインかもしれません。

それを後回しにしないで、今日のうちに叶えてみる。
時間がなくても、少し寄り道してみる。
その一歩が、日常をもっと豊かに、愛おしくしてくれる。

ずっとそこにあると思っていた美術館も、
大好きだったお店も、
ある日突然「過去のもの」になってしまう。

だから、行きたい場所へは、「今、行っておこう」。

それが、私の心を整える新しい暮らしの習慣です。

タイトルとURLをコピーしました