私は、料理が得意なわけではありません。
でも、家族の健康を考えるようになってから、自然と“食生活”に意識が向くようになりました。
若い頃は、仕事や家事や家族のお世話に追われながらも「バランスよく食べさせたい」と思い、
野菜やたんぱく質をしっかり取ることばかりを意識していました。
けれど40代に入り、体調の変化を感じるようになると、
それだけでは整わない“何か”があると気づいたのです。
食べたものが、心の落ち着きや肌の調子、睡眠にまで影響している——
そんな実感が増えていくなかで、私は少しずつ「素材に戻る食卓」を意識するようになりました。
“ホールフード”という、素材を生かす暮らし
ホールフードとは、できるだけ自然に近い形で食材をまるごといただく考え方。
玄米や豆、根菜、発酵食品など、昔ながらの日本の食卓に通じる考え方です。
私はそこに厳密なルールを持ち込むつもりはありません。
ただ、“できるだけ加工の少ないものを選び、素材そのものの力を味わう”という感覚を大切にしています。
たとえば、
・旬の野菜を蒸して塩とオリーブオイルで味つけする
・出汁をとって冷蔵庫に常備する
・お米は雑穀や黒米を混ぜて炊く
そんな小さな工夫を重ねていくうちに、
キッチンに立つ時間が“整える時間”へと変わっていきました。
香りがやさしく、味がまっすぐで、食後の体が軽い。
それは、心までやわらかく整うような感覚でした。
加工食品を減らして感じた3つの変化
① 味覚が素直になった
濃い味つけに頼らなくても、素材そのものの旨みを感じられるようになりました。
にんじんのやさしい甘さ、昆布の出汁の深み。
調味料を最小限にしたほうが、食材の声がよく聞こえる気がします。
② 体の疲れが抜けやすくなった
食後の重たさや、夕方のだるさが少しずつ軽くなりました。
体が静かに整っていくような、そんな穏やかな変化を感じています。
③ 台所が“自分をリセットする場所”になった
包丁を握る音、湯気の立ちのぼる香り。
それらが、私にとって“暮らしのリズム”を整える合図になりました。
料理をすることが、義務ではなく、自分のための“ケア”のひとつになっていったのです。
“やめる”ではなく、“選び直す”
私は「加工食品を完全にやめる」ことを目指してはいません。
大切なのは、“自分と家族の体が心地よく感じる選択”をすること。
◎ 調味料は、素材や製法がわかるものを選ぶ
◎ お菓子は、原材料がシンプルなものを
◎ 疲れた日は、味噌汁とおにぎりだけでも十分
そんな風に、無理をせず、自分のペースで選び直すことで、
食卓に「安心感」と「余白」が生まれました。
40代は、体も心もゆるやかに変わる時期。
だからこそ、“何を食べるか”は“どう生きたいか”とつながっているのだと思います。
派手な変化ではないけれど、
素材に戻ることで、暮らしは静かに、でも確実に整っていく。
今日も、湯気の向こうに見える家族の笑顔を思いながら、
私らしいホールフードの食卓を、少しずつ育てていきたいと思います。

