介護に植物のやさしさを―40代から始めた私の植物療法とケアのかたち

介護

「普通」が難しくなる現実と向き合って

最近、70代以上の親族3人が相次いで介護が必要な状態になりました。
誰もが「普通」にしていたこと——食事をする、トイレに行く、お風呂に入る、歩く。
そのどれもが、思うようにできなくなる現実に直面し、私は言葉にならない戸惑いや切なさを感じています。

肺疾患、肺がん、腎臓病。
病気そのものへの向き合い方もさることながら、介護する私自身の心と体にも、知らず知らずに負担がかかっていました。

そんなときふと思ったのです。
「薬や医療のサポートだけでなく、日々の暮らしの中で、もっとやさしく寄り添える方法はないだろうか」と。

そこで出会ったのが、植物療法(フィトセラピー)でした。

植物の力で、心と体にやさしいケアを

ハーブや精油には、古くから人々の生活を支えてきた力があります。
薬ではありませんが、リラックスを促したり、皮膚を守ったり、消化を助けたり…。
ちょっとした「不調の手前」に、自然の力でそっと寄り添ってくれる存在です。

私はまず、介護の現場でも使いやすそうなハーブと精油を調べてみました。

【介護に役立つハーブの一例】

◎ カモミール:緊張を和らげ、皮膚の炎症にもやさしい

◎ レモンバーム:不安を軽減し、認知機能にも良い影響

◎ セントジョーンズワート:気持ちの落ち込みをケア

◎ エキナセア:免疫力を高め、感染症の予防にも

◎ ラベンダー:睡眠をサポートし、鎮痛作用も

【介護で使いやすい精油の一例】

◎ ラベンダー精油:リラックス・睡眠の質向上に

◎ ティーツリー精油:抗菌・消臭・感染予防に

◎ ローズマリー精油:脳の働きをサポート、認知症ケアの補助に

◎ ユーカリ精油:呼吸器系のトラブル緩和に

◎ ベルガモット精油:ストレスの緩和、穏やかな気分に

実際にやってみた「植物療法×介護」のアイデア

介護の現場では、香りや肌に触れるケアは、思っていた以上に受け入れられやすいものでした。

たとえば——

◎ ラベンダーとティーツリーのスプレーでベッドまわりの消臭と除菌

◎ ユーカリ精油を使った呼吸を助ける芳香浴

◎ カモミールティーで心を落ち着けるティータイム

◎ 精油入りのホホバオイルで足や手のやさしいマッサージ

特別な道具がなくても、“手から伝わる安心感”と“香りのちから”で、介護を受ける方の表情がほんの少し和らぐ瞬間があるのです。

「できることが少なくなっても、あたたかくいられる」暮らし

介護をしていると、「これもできなくなってしまった」と悲しくなることがあります。
けれど、ハーブや精油がそっとそこにあることで、「でも、今できるケアがある」と前を向けるようになりました。

完璧じゃなくていい。
自然の力を借りながら、その人らしくいられる時間を少しでも長く支えたい。

それが、私が植物療法を学び始めた理由です。
40代の今、自分ができる小さな手当てを、心を込めて届けていきたいと思っています。

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