毎日の料理に欠かせない調味料「さしすせそ」。
その中でも、「甘さ=控えるべきもの」と思われがちな“砂糖”に、今回はあらためて焦点をあてます。
40代になると、体の変化や健康への意識から「砂糖=悪者」と考えがちです。
けれど私は、砂糖にも心と体を“整える”力があると感じるようになりました。
砂糖は、甘さだけではない「うれしい働き」がたくさんある調味料。
今回は、私がこれまで使ってきた砂糖の変遷も含めながら、「今の私にちょうどいい」砂糖との付き合い方をお届けします。
甘味・旨味・コクを生む砂糖の力
砂糖は単なる甘味料ではなく、料理全体の味をまとめ、奥行きとコクをもたらす存在です。
たとえば、肉じゃがやかぼちゃの煮物にひとさじ加えるだけで、塩や醤油の塩味が丸くなり、食材の旨みがぐっと引き立ちます。
他の調味料の“橋渡し”のような役割を果たしてくれるのです。
また、味に「余白」が生まれることで、心にもほっとゆとりが生まれる―
そんな感覚も、40代の今だからこそ、大切にしたいと感じています。
食材をやさしく整える、砂糖の働き
砂糖には、食材をやわらかくする作用があります。
肉や豆などを煮込むときに最初に砂糖を加えると、水分が保たれ、ふっくらとした仕上がりに。
これは、砂糖がタンパク質の変性を和らげる働きによるもの。
口当たりがやさしくなることで、食べる人の気持ちもどこか穏やかになる。
そんな料理の力を、砂糖が支えてくれているのだと思います。
保存性を高める:浸透圧の知恵
砂糖にも、塩と同じく浸透圧を利用して水分を引き出す働きがあります。
果物のコンポートや梅シロップなどに使えば、日持ちもして、日々の食卓にちょっとした余裕が生まれます。
昔ながらの保存食に砂糖が欠かせないのも、この働きゆえ。
40代の私たちにとって「無理をしない備え」として、賢く取り入れていきたい習慣です。
ツヤと照りが、食卓を整える
和え物や煮物に美しいツヤを与えるのも、砂糖の大切な働きの一つ。
例えば、いんげんの胡麻和えや照り焼きチキンなど。
見た目がぱっと華やかになることで、食欲が増し、食卓の雰囲気も明るくなります。
40代になってから、私は「料理の見た目が気持ちを整える力」を実感するようになりました。
ただ栄養を摂るためだけでなく、「心がほどけるごはん」を作ることが、私の暮らしの軸になっています。
私が選んだ“整える砂糖たち”の変遷
長く愛用していたのは、「喜界島のきび糖」(大地を守る会で購入)。
まろやかな甘さとコク、自然に近い風味が気に入っていて、煮物やお菓子作りによく使っていました。
その後、冷えや体調を意識するようになり、最近は「てんさい糖」へと切り替えました。
中でもお気に入りは、ムソーの「てんさい含蜜糖・粉末」。
さらさらと溶けやすく、蒸しパンやクッキーなどにも使いやすいんです。
てんさい糖の原料「てん菜」は寒冷地で育つ植物。
体を冷やしにくく、オリゴ糖が腸内環境にもやさしく働いてくれると言われています。
甘さそのものが控えめで、料理にもお菓子にもすっと馴染み、体にも心にも“ちょうどいい”甘さ。
無理なく、自然と暮らしに馴染んでくれる砂糖が、今の私にはちょうどいい存在です。
「整える甘さ」とともにある暮らし
砂糖は、控えるべきものではなく、整えるために使いたい調味料。
料理に奥行きを与え、素材をやわらかく包み込み、見た目を引き立て、日々の食卓にほっとしたぬくもりを添えてくれます。
40代の今、私は「引き算するように整える」砂糖の使い方を心がけています。
やさしい甘さがあることで、食事に心地よさが生まれ、暮らしのテンポも少しだけ緩やかになる。
そんな“整う甘さ”と、これからも穏やかに付き合っていきたいと思います。
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