40代に入ってから、「なんとなく調子が出ない日」が以前より増えたように感じます。
疲れが抜けにくかったり、無性に甘いものを欲したり、理由のわからない不調がぽつり、ぽつりと現れる—。
そんな私に、毎日の食を通して“体の声”をやさしく教えてくれたのが、薬膳で大切にされている 「五性」と「五味」 の考え方でした。
食材を「温めるもの?冷ますもの?」「どんな働きがある味?」と見るだけで、体との付き合い方がとても楽になったのです。
今回は、薬膳の入り口として知っておきたい 五性・五味の基本と、日々の献立に取り入れるコツ をまとめました。
五性・五味とは? ― 食材の性質を知るやさしいヒント
薬膳では、食材にはそれぞれ固有の“性質”と“働き”があると考えられています。
五性(寒・涼・平・温・熱)
食材が体をどう変化させるかを示す指標です。
◎ 寒・涼 … 体の熱を冷ます
◎ 平 … どちらにも偏らず穏やか
◎ 温・熱 … 巡りを促し、温める
たとえば、きゅうりは「寒」、生姜は「温」、白米は「平」。
体調や季節に合わせて五性を選ぶことで、40代の揺らぎにやさしく寄り添えるようになります。
五味(酸・苦・甘・辛・鹹)
味にも、それぞれ体を動かす役割があります。
◎ 酸(すっぱい) … 収れん・潤いを守る
◎ 苦(にがい) … 余分な熱を冷ます
◎ 甘(あまい) … 気を補い、緩める
◎ 辛(からい) … 巡りを良くし、発散させる
◎ 鹹(しおからい) … 柔らげて動かす
「最近、甘いものが欲しくて仕方ない」
「苦いものがやけに美味しい」
—そんな味の変化も、体の声として受け取れるようになります。
五味が体に与える働き
40代の体調の揺らぎは、味の偏りとして現れることがよくあります。
◎ 甘味を強く求める
→ 気力不足・疲れのサイン。
さつま芋・かぼちゃ・豆類の“やさしい甘味”で補うのがおすすめ。
◎ 苦味が心地よい
→ のぼせ・イライラ・ほてりがあるとき。
緑茶、ゴーヤ、春菊などが余分な熱をやわらげます。
◎ 辛いものに惹かれる
→ 巡りが停滞しているとき。
生姜・ネギ・スパイスは、気血の流れをやさしく後押ししてくれます。
味の欲求に気づくことは、自分の体の状態を知る第一歩。
薬膳は、そんな日常の小さな変化にも寄り添ってくれる知恵なのです。
毎日の献立に“五味バランス”を取り入れる方法
「五味全部を揃えなきゃ」と思う必要はありません。
むしろ、薬膳で大切なのは 偏りをやさしく整えること。
私が続けているのは、この3つ。
① ひと皿に“甘味”の食材をひとつ入れる
米・根菜・豆類など、体の土台を支える甘味を基本に。
② 苦味・酸味を少量添えて、ほてりを調整する
レモンをひとかけ、緑茶を一杯、春菊を少し。
“ちょっとだけ”で十分です。
③ 辛味は、巡りが落ちた日のスイッチに
生姜・ネギ・香味野菜は、冷えや気圧変化による停滞に良い。
無理なく、心地よく続けられるのが薬膳の良さ。
40代の体の揺らぎも“味”でやさしく整えることができます。
五味を整える「具沢山スープ」レシピ
忙しい日でも一杯で五味が自然と整う、私のお気に入りです。
【材料】(2人分)
・玉ねぎ(甘) 1/2個
・にんじん(甘) 1/3本
・トマト(酸) 1/2個
・生姜(辛) 少々
・きのこ(苦) 適量
・味噌または塩(鹹) 適量
・出汁 400ml
・お好みの野菜や豆類も◎
【作り方】
① 玉ねぎとにんじんを出汁で煮る
② トマト・きのこ・生姜を加えてコトコト
③ 塩または味噌で味を整える
④ 仕上げにごま油を数滴
五味がバランスよく入り、体がふっと緩むやさしい調整スープです。
五性・五味を知ると、毎日の食が“私の味方”になる
薬膳は、難しい知識を覚えるためのものではなく、
「今日の私がどんな状態か」
を見つめる小さな習慣。
40代は心も体も揺らぎやすい時期ですが、
五性・五味を知ることで、その揺らぎに寄り添う食べ方が自然とできるようになります。
今日の食卓が、あなたの体をそっと支えるものになりますように。
薬膳の知恵が、これからの暮らしをもっと心地よくしてくれますように。
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