庭に出て、花を眺める時間が好きになりました。
忙しいわけでも、特別な作業をするわけでもなく、
ただ、今そこに咲いている姿を見るだけ。
40代になってから、
こうした「何もしない時間」が、以前よりも深く心に残るようになった気がします。
最近ふと、一年草と多年草の違いを意識するようになりました。
それぞれの育ち方を見ているうちに、
時間の流れや、今の自分の在り方と重なって見えたのです。
一年草がくれる、今を味わう時間
一年草は、種をまいてから花を咲かせ、
実を結び、枯れるまでを一年で終える植物です。
成長が早く、
花は大きく、色も鮮やか。
庭を一気に華やかにしてくれます。
手間もそれほどかからず、
ガーデニング初心者でも育てやすい存在ですが、
翌年にはまた、新しく植え替える必要があります。
この一年草を見ていると、
「今、この瞬間の時間」を思い出させてくれます。
・期間限定の楽しみ
・その年だけの挑戦
・一度きりのタイミング
40代になると、
つい「続くかどうか」「意味があるかどうか」を考えてしまいます。
けれど一年草は、
続くかどうかよりも、
今を精一杯咲くことに迷いがありません。
短いからこそ、
美しく、力強い。
そんな時間の使い方も、
今の私たちには必要なのだと感じます。
多年草が教えてくれる、積み重ねの時間
一方、多年草は、
地上の部分が枯れても、根は土の中に残り、
春になると、また新しい芽を出します。
花は控えめですが、
毎年安定して咲き、
株は少しずつ大きくなっていきます。
剪定や株分けなど、
多少の手入れは必要ですが、
長い目で見れば、とても頼もしい存在です。
この多年草の姿は、
40代からの暮らしそのもののようにも感じます。
・すぐに結果は出ないけれど
・見えないところで整っていく
・続けることで、少しずつ育つ
健康のこと、
人との関係、
日々の習慣。
派手さはないけれど、
確実に、暮らしの土台になっているものたち。
多年草は、
「今は咲いていなくても、大丈夫」
そんな安心感を、そっと教えてくれます。
40代からは、時間を選べるようになる
若い頃は、
一年草のような時間ばかりを追いかけていた気がします。
早く結果を出したくて、
立ち止まるのが怖くて、
次から次へと動いていました。
40代になった今は、
多年草の時間に、自然と心が向くようになりました。
でも、だからといって
一年草の時間がいらなくなるわけではありません。
・今を楽しむ、一年草のような時間
・土台を育てる、多年草のような時間
その両方を、
自分で選び、組み合わせられるようになること。
それが、40代からの
「心地よい時間の感覚」なのだと思います。
心地よい暮らしは、時間の育て方で決まる
庭に一年草と多年草が一緒にあると、
不思議と、華やかさと落ち着きが共存します。
暮らしも、きっと同じ。
短くても心が弾む時間と、
長く続く安心できる時間。
どちらかだけではなく、
どちらも大切にしながら、
今の自分に合ったペースで育てていく。
40代からの暮らしは、
「何を増やすか」よりも、
どんな時間を大切にするか。
庭の植物たちが教えてくれた、
静かだけれど、確かな時間の感覚です。

