40代からの“無理しない自己一致”と心身の健康|第2回:「やりたいこと」と「やっていること」がズレると、体はどうなるのか

②【生き方・考え方】

40代になってから、
「特別な理由はないのに、なんとなく疲れやすい」
「気力が続かず、回復にも時間がかかる」
そんな変化を感じることが増えてきました。

生活が乱れているわけではない。
むしろ、食事や睡眠、日々の役割も、きちんとこなしている。
それなのに、体だけがついてこない—
以前の私も、そんな感覚を抱えていました。

この違和感を整理する中で、
ひとつの視点として腑に落ちてきたのが、
「やりたいこと」と「やっていること」のズレです。

自我(役割の自分)と、本質的な欲求の違い

心理学では、
社会で生きるために身につけてきた「役割の自分」と、
心の奥にある「本質的な欲求」は、必ずしも同じではないと考えます。

・期待に応える自分
・ちゃんとしている自分
・迷惑をかけない自分

こうした姿は、これまでの人生で必要だった大切な側面です。

一方で、本質的な欲求とは、
「理由は説明できないけれど、心が落ち着く」
「無理をしなくてもエネルギーが保てる」
そんな、ごく個人的で静かな感覚です。

この二つが長い間ずれたままになると、
心と体の間に、少しずつ緊張がたまっていきます。

「こうあるべき」が自律神経に与える影響

「まだ頑張れる」
「弱音を吐いてはいけない」
「ここで休むのは甘えかもしれない」

こうした思考が続くと、
体は無意識のうちに“緊張状態”を維持しようとします。

心身医学では、
この状態が続くことで自律神経のバランスが乱れ、

・眠りが浅くなる
・血流が滞りやすくなる
・疲労が抜けにくくなる

といった変化が起こると考えられています。

これは性格の問題ではなく、
体が環境に適応し続けた結果でもあります。

抑え込まれた感情は、体に表れやすい

心理学者ロジャーズは、
「感じていることを否定し続けると、人は内側で緊張を抱える」と述べました。

疲れているのに「大丈夫」と言い続ける。
違和感があるのに、見ないふりをする。

そうして行き場を失った感情は、
言葉ではなく、体の感覚として現れることがあります。

原因がはっきりしない不調が続くとき、
生活習慣だけでなく、
「自分の本音をどれくらい後回しにしているか」を
そっと振り返る余地はあるのかもしれません。

なぜ40代でズレが表面化しやすいのか

40代は、体力・ホルモン・役割意識が大きく変わる時期です。
若い頃のように、無理をエネルギーで補うことが難しくなり、
体が正直にサインを出すようになります。

これは衰えではなく、
調整し直すタイミングに入ったという見方もできます。

ズレに気づくことは、弱さではない

自己一致というと、
「好きなことだけを選ぶこと」
「大きく生き方を変えること」
そんなイメージを持つかもしれません。

けれど、40代からの自己一致は、
もっと静かで、現実的なものだと感じています。

今の暮らしをすべて変えなくてもいい。
無理に答えを出さなくてもいい。

ただ、
「これは本当に納得しているだろうか」
「体は今、どう感じているだろうか」

そんな問いを、評価せずに自分へ向けてみること。

それだけでも、
知らず知らずのうちに入っていた力が、
少しずつ抜けていくことがあります。

40代は、
がんばり続ける時期から、
自分とのズレを静かに調整していく時期へ。

心と体が同じ方向を向いている感覚は、
特別なことをしなくても、
日々の中で少しずつ育てていけるものなのかもしれません。

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