暮らしを整える中で、私たちは日々「酸化」というプロセスと無意識に向き合っています。
例えば、切ったリンゴが茶色くなる、油が風味を失う、食品の風味が少しずつ変わる――それが酸化のサインです。
その酸化を抑えるために、食品には「酸化防止剤」が添加されることがあります。
今回は、BHA・BHTなどの酸化防止剤を中心に、添加物との付き合い方を見直す視点で、“酸化しない暮らし”について考えてみたいと思います。
酸化とは何か? 老化との関係も知る
酸化とは、酸素と結びつくことで物質が変化すること。体内でも、体を酸化させる「活性酸素」が老化や肌のくすみ、疲労の原因として注目されています。
食品では、油脂が空気と触れることで味が劣化したり、においが変わったり。これを抑えるために、酸化防止剤が使われます。
酸化が進むと、栄養素が壊れたり、劣化物質が増えたりする可能性もあり、“酸化=ゆるやかな劣化”と捉えられることがあります。
だからこそ、「酸化しない暮らし」は、体・肌・食品すべてに安心をもたらす暮らしの視点になるのです。
酸化防止剤とは? BHA・BHTなどの役割
酸化防止剤は、食品の劣化を遅らせるために添加される成分。
代表的なものに BHA(ブチルヒドロキシアニソール) や BHT(ジブチルヒドロキシトルエン) があります。
これらは、主に油脂や乾燥食品、揚げ物、マーガリン、焼き菓子などで使われ、少量で酸化を抑える働きをします。
一方、過剰な使用や濃度、動物実験などから、発がん性や変異原性、内分泌かく乱作用の疑いが指摘されることもあります。
国内では、これら成分の使用は一定の基準のもとで許可されており、適量であれば安全性が前提とされています。
ただし、「疑い」が指摘されているという文献も存在するため、私たちは選択肢を学びながら向き合う必要があります。
添加物と老化・健康リスクの関係性
BHA や BHT の使用が、動物実験で肝臓がんや腫瘍増殖を引き起こした例も報告されています。
また、BHA は環境ホルモン(内分泌かく乱作用)としての可能性が指摘されることもあります。
肌刺激やアレルギー反応を感じた人がいるという報告もあり、化粧品など日用品の成分表示チェックは重要です。
ただ、これらのリスクは使用量や濃度、使用頻度などに大きく依存します。
国や機関は、一般的には安全性を保つ基準を設けています。
しかし、私たちは“リスクゼロ”ではないという前提を忘れず、選ぶ意識を持ちたいものです。
ラベルを“見る”習慣を暮らしに
酸化防止剤を避けたいなら、まずは原材料表示を読む習慣を。
以下のような記載があれば、BHA・BHT の可能性があります。
● BHA、BHT、酸化防止剤
● 英語表記:Butylated Hydroxyanisole, Butylated Hydroxytoluene など
● 製品表示で「天然由来」をうたっている場合(たとえばトコフェロール、ローズマリー抽出物等)かどうかも確認
輸入品や加工食品を選ぶ際は、薬機法、食品衛生法、輸入規制などの違いが影響することもあるため注意したい点です。
私が選ぶ、「酸化しない暮らし」の実践法
私は、無理にすべてを排除しようとは思いません。
けれど、自分なりの心地よい線引きを大切にしています。
◎ 油や脂を扱うときは、少量に抑えて新鮮なものを使う
◎ 揚げ物や長時間の加熱より、生や蒸し料理を増やす
◎ 抗酸化作用を持つ食材(ビタミン C・E、ポリフェノール)を意識する
◎ 自家製保存食をつくって、保存料に頼らない選択肢を増やす
◎ 添加物を使わないスキンケア・日用品を選ぶ
こうした小さな選択を積み重ることで、酸化ストレスを少しずつ抑えていく暮らしを目指しています。
小さな暮らしのヒント:酸化を抑える習慣
◎ 食材は使い切り量で買う
◎ 遮光保存、冷蔵・冷凍を活用
◎ 油は使う前に臭いをチェック
◎ 加熱しすぎない、調理法を見直す
新しい視点で、「整える暮らし」を育む
酸化防止剤との向き合い方は、単に「使う/使わない」の二元論ではありません。
私たちにできることは、選べる視点を持つこと。
「何を選ぶか」「どの範囲で選択するか」が、暮らしの自分らしさにつながると思います。
添加物を知ることは、自分と暮らしを守るための優しい知恵です。
40代からは、知識と感覚を育てながら、心地よい“酸化しない暮らし”を紡いでいきたいと思います。
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