40代になってから、不調の出方が変わってきたと感じています。忙しさが続くと、まず胃腸に出る。緊張した日は、お腹が張る。食後に、どっと眠くなる。そして、肌がゆらぐ。どれも病院に行くほどではないけれど、確実に「いつもと違う」。そんなとき私が手を伸ばすのが、植物の力です。
この記事では、胃腸、肝臓、肌をやさしく支える7つのハーブを、私の暮らしでの使い方とともにまとめました。前半は緊張と胃腸をゆるめるハーブ、中ほどは肌とめぐりを整えるハーブ、後半は肝臓とゆらぎに寄り添うハーブです。手づくりの浸出油や、わが家の週末ブレンドのレシピも収めています。ハーブは即効性のある薬ではありません。けれど、続けていくうちに「あれ、最近調子がいいかも」と気づく。そんな静かな変化を、一緒に育てていけたらと思います。
※本記事は個人の体験と一般的な情報のご紹介であり、病気の治療を目的としたものではありません。持病のある方、薬を飲んでいる方、妊娠中・授乳中の方は、使う前に医師や薬剤師に相談してください。
| ハーブ | ひとことで言うと |
|---|---|
| ジャーマンカモミール | 母なるハーブ。心と胃腸と肌に |
| 月桃(サンニン) | 南の島の、こわばりをゆるめる香り |
| カレンデュラ | 肌と粘膜を守る、黄金の花 |
| レモングラス | すっきりとした、めぐりの一杯 |
| マルベリー(桑の葉) | 食後の眠気が気になる日に |
| ダンディライオンとミルクシスル | 肝臓をいたわる、週末の習慣 |
| ゆらぎの時期に知られるハーブ | 使う前に知っておきたいこと |
ジャーマンカモミール ― 母なるハーブ
ジャーマンカモミールは、キク科の一年草です。小さな白い花びらと黄色い中心、ふわっと香る甘いりんごのような香りが印象的です。絵本『ピーターラビットのおはなし』で、冒険に疲れたピーターに、お母さんがカモミールティーを飲ませる場面があるほど、昔から心と体を落ち着けるハーブとして親しまれてきました。中世のヨーロッパでは修道院の薬草園で育てられ、「母なる薬草」と呼ばれてきました。日本には江戸時代に伝わり、かつては日本薬局方にも「カミツレ」として収められていました。
カモミールには、青い色の精油成分カマズレンや、α-ビサボロール、アピゲニンなどが含まれ、穏やかに炎症をしずめたり、緊張をゆるめたりする働きがあるとされています。忙しくて緊張がとれない夜に一杯飲むとほっとしますし、食べすぎて胃が重い翌朝にも、やさしく寄り添ってくれます。
飲むだけでなく、暮らしの中でもいろいろに使えます。冷ましたティーをコットンに含ませて、日焼けのあとやほてった肌に3〜5分のせる冷湿布。温かいティーを布に含ませて、肩や胃のあたりに当てる温湿布。乾燥した花を大さじ2〜3杯、布袋に入れて湯船に浮かべるカモミールバスは、りんごのような香りが広がって、肩の力がすっと抜けていきます。
ブレンドするなら、朝のリフレッシュにはレモンバーム、夜のリラックスにはラベンダー、肌の潤いを意識したい日にはローズヒップを。その日の気分や体調に合わせてブレンドを考える時間が、自分を見つめる静かな習慣になっています。
キク科の植物にアレルギーのある方は使わないでください。妊娠中は、念のため量を控えめにしてください。濃いティーを長い時間肌にのせることも避けましょう。疲れた日や眠れない夜、カモミールの香りは「大丈夫」とやさしく語りかけてくれる、お守りのようなハーブです。
月桃(サンニン) ― こわばりをゆるめる、南の香り
40代になると、心の疲れがそのまま体に出やすくなります。仕事や家事で緊張が続いた日ほど、お腹が張る、胃が重い、なんとなく食べたくない、というサインが出やすくなるものです。私も、忙しさが続くと、まず胃腸に違和感が出るタイプです。気づけば呼吸が浅くなり、肩やお腹がぎゅっと固まっています。そんなときに寄り添ってくれるのが、沖縄でサンニンと呼ばれる月桃です。
月桃はショウガ科の植物で、ハーブティーには葉を使います。3メートルほどの高さに育つ生命力の強い植物で、初夏には白にほんのりピンクを帯びた、貝殻のような花を咲かせます。沖縄では、旧暦の12月8日の「ムーチー」の日に、月桃の葉で包んだお餅を食べる習わしがあります。葉の香りと、ものを傷みにくくする働きを生かした、昔からの知恵です。
月桃ティーは、乾燥した葉を小さじ1杯、熱湯150〜200mlに入れ、カップにふたをして10分ほど蒸らします。香りは、最初は甘く、だんだんスパイシーに、最後はウッディで穏やかに変わっていきます。その移り変わりが、緊張がほどけていく過程のようで、飲むたびに「ゆっくりでいいよ」と背中をなでられるような気持ちになります。
朝、胃が重い日は薄めに淹れて。仕事の緊張が抜けない日は、香りだけ吸いこんで深呼吸を。夜のリラックスタイムには、しっかり蒸らした一杯を。40代の私たちに必要なのは、がんばる力より、ゆるむ力なのかもしれません。妊娠中の方、持病のある方、薬を飲んでいる方は、専門家に相談してから取り入れてください。
カレンデュラ ― 肌と粘膜を守る、黄金の花
私は13年前に胃潰瘍を経験してから、寒い冬の朝は、胃腸が少し緊張しやすくなりました。そんなときに欠かせないのが、ハーブティーです。最近の朝の習慣は、カモミールとレモングラスに、カレンデュラを加えたブレンドティー。冷えた朝でも体がやさしく温まり、カップの中に広がるオレンジ色の花びらを眺める時間が、ほっとする私時間になっています。
カレンデュラは、キク科の植物で、花びらを使います。古くから、肌や粘膜を守り、荒れた肌をいたわるハーブとして使われてきました。花びらに含まれるカロテノイドの色素やフラボノイドなどが、肌を健やかに保つのを助けるとされています。唇の荒れや手荒れ、乾燥が気になるところのケアにも親しまれてきました。
カレンデュラは、浸出油として手づくりできるのも魅力です。浸出油にミツロウを溶かし混ぜれば、やわらかな軟膏にもなります。私は、日中に乾燥や手荒れが気になるところに、この軟膏を塗っています。
カレンデュラ浸出油の作り方
材料
- ドライのカレンデュラ:5〜10g
- 植物油(マカデミアナッツオイル、ホホバオイルなど):約100ml
- 広口のガラス瓶(煮沸消毒したもの)
- 保存用の遮光瓶、こすためのガーゼ
作り方
- 煮沸消毒したガラス瓶を、完全に乾かします。水分が残るとカビの原因になります
- カレンデュラを瓶に入れ、花がすっかり浸るまで植物油を注ぎます。瓶の口近くまで入れると、空気に触れにくくなります
- ふたをしっかり閉めて、日の当たる暖かい場所に2〜3週間置きます。1日1回、瓶を軽く振ります
- ガーゼでこして遮光瓶に移し、涼しく暗い場所で保管します。3か月ほどで使い切ってください
生の花ではなく、必ず乾燥したものを使ってください。初めて肌に使うときは、腕の内側などで試してから使いましょう。キク科の植物にアレルギーのある方は使わないでください。妊娠中・授乳中の方は、医師に相談してください。
レモングラス ― すっきりとした、めぐりの一杯
「また、貧血ぎみですね」。健康診断でそう言われたのは、もう何度目だったでしょうか。20代の頃から、年に一度の検診で貧血ぎみと言われ、数値の変化は小さくても、朝の立ちくらみや夕方のだるさに、気持ちが沈むことがありました。年齢を重ねるにつれ、自分の体に、もっとやさしいリズムを取り戻したいと思うようになりました。そんな暮らしに風を通してくれたのが、レモングラスティーです。
レモンを思わせる爽やかな香りのレモングラスは、飲むだけで気持ちがすっとクリアになるハーブです。カフェインがないので、朝のスタートにも、食後のひと息にも、寝る前にも飲めます。食後には、ネトルやローズヒップと少しブレンドすることもあります。寝る前には、温かい一杯を手に、本を1ページだけ読む。その数分が、「今日もよくがんばったね」と自分に語りかける時間になっています。
ただし、レモングラスで鉄分が補えるわけではありません。貧血が気になる場合は、必ず医療機関で検査を受けてください。食事では、鉄分の多い食材とビタミンCを組み合わせることを意識しながら、ハーブはあくまで暮らしの中の一杯として楽しんでいます。妊娠中の方は、控えてください。1日1〜2杯から、体と相談しながら取り入れましょう。
マルベリー(桑の葉) ― 食後の眠気が気になる日に
40代になってから、甘いものを少し食べるとすぐに眠くなる、肌のくすみが気になる、と感じることが増えてきました。年齢による変化は自然なことだけれど、できることから整えたいという思いが、どこかにずっとありました。そんなときに出会ったのが、マルベリーリーフ、桑の葉です。
桑の葉は、昔から日本や中国で、お茶として親しまれてきた植物です。桑の葉に含まれるDNJ(デオキシノジリマイシン)という成分には、食事の糖の吸収をゆるやかにする働きがあるとされ、食後の血糖値の上がり方を気にする人のお茶として知られています。
私が使っているのは、有機栽培のパウダーです。農薬や化学肥料を使っていないこと、溶かすだけで手軽なこと、やさしい味で続けやすいことが選んだ理由です。朝は白湯に、午後は豆乳に溶かしてラテ風に。気分によって、黒豆や生姜のパウダーを少し加えることもあります。時間のない日でも、整える一杯がすぐにつくれるのがうれしいところです。
取り入れて2週間ほどたった頃、まず気づいたのは、食後の眠気が減ったことでした。そのあと、肌のごわつきがやわらいだように感じることもありました。何より、「今日は自分を整えてあげた」という気持ちが、安心感につながっています。血糖値に不安のある方や、糖尿病の治療中の方、血糖を下げる薬を飲んでいる方は、必ず医師に相談してください。
ダンディライオンとミルクシスル ― 肝臓をいたわる、週末の習慣
13年前、家族が急性肝炎で入院したことがありました。そのとき、日々の暮らしの中で、どれだけ肝臓に負担をかけていたのかを知り、整えることの大切さを身にしみて感じました。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、疲れや食生活の乱れ、お酒などの負担を、目に見えないところで静かに引き受けています。
40代に入って、私も家族も、なんとなく疲れがとれにくくなったと感じることが増えました。本当は休肝日をつくってほしい。でも、忙しい毎日の中で、まったく飲まない日をつくるのは難しいこともあります。そこで、週に一度だけ、家族の「肝臓をいたわる日」をつくることにしました。そのときに淹れるのが、ダンディライオン(西洋タンポポ)とミルクシスルのブレンドです。
ダンディライオンの根は、ヨーロッパで昔から、消化や肝臓の働きを助けるハーブとして使われてきました。ローストしたものは、香ばしくコーヒーのような風味です。ミルクシスル(マリアアザミ)の種には、シリマリンという成分が含まれ、肝臓を守る働きがあるとして、ヨーロッパでは古くから使われてきました。苦みのあるミルクシスルも、組み合わせを工夫すれば、やさしく飲みやすくなります。
わが家の週末ケアブレンド
材料(1杯分)
- ダンディライオン(ロースト):ティースプーン1杯
- ミルクシスル(軽くつぶしたもの):ティースプーン1杯
- 北海道産の和薄荷(乾燥):ティースプーン1/2杯
作り方
- ポットかカップに材料を入れ、熱湯を注ぎます
- ふたをして、7分ほど蒸らします
- 茶こしでこして、そのまま、または少し豆乳を加えてラテ風に
和薄荷のすっきりとした清涼感が加わると、香ばしいダンディライオンと苦みのあるミルクシスルが、ぐっと飲みやすくなります。草原で深呼吸をしているような、やわらかな余韻が残る一杯です。私はそのままストレートで、家族は少し豆乳を加えて飲んでいます。
ハーブティーは、即効性のある薬ではありません。けれど、週に一度、ほんの15分でも、家族に「おつかれさま」と声をかけるように一杯を淹れる時間は、私にとって日々の小さな祈りのようなものです。
肝臓の数値に不安がある方や、肝臓の病気の治療中の方は、必ず医師に相談してください。ミルクシスルは、薬との飲み合わせに注意が必要とされています。薬を飲んでいる方は、特に気をつけてください。キク科の植物にアレルギーのある方は、ダンディライオンとミルクシスルも避けてください。
ゆらぎの時期に知られるハーブ ― 使う前に知っておきたいこと
40代になると、生理前の不調や周期の乱れなど、心と体のゆらぎを感じることが増えてきます。女性ホルモンのエストロゲンが少しずつ減り始めるこの時期に、よく話題にのぼるのが、植物に含まれる「植物性エストロゲン(フィトエストロゲン)」です。植物療法では、こうした成分を含むとされるハーブや、香りの精油が、ゆらぎの時期に昔から使われてきました。
ハーブティーとして取り入れやすいのは、大豆と同じイソフラボンを含むレッドクローバーや、甘く爽やかな香りのフェンネルです。香りで楽しむものとしては、クラリセージやゼラニウム、ローズの精油がよく知られています。ゼラニウムやローズの香りをかいだあとに、唾液に含まれるエストロゲンの量が増えたという、日本の小さな研究もあります。夜のリラックスタイムに香らせるだけでも、気持ちがふっとほどける時間になります。
ただし、ホルモンに働きかけるとされるハーブは、使い方に注意がいります。乳がんや子宮の病気など、ホルモンが関わる病気の治療中の方や、そうした病気をしたことのある方は、必ず医師に相談してください。妊娠中・授乳中の方は使わないでください。精油は原液を肌につけず、必ず植物油で薄めて、目立たないところで試してから使いましょう。
また、更年期の不調によく使われるブラックコホシュは、作用が強く、まれに肝臓の障害が報告されているハーブです。胃腸と肝臓をいたわるこの記事の考え方からも、自己判断では使わず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
使うときの、共通の注意
妊娠中・授乳中の方は、自己判断で使わず、医師や専門家に相談してください。キク科の植物にアレルギーのある方は、カモミール、カレンデュラ、ダンディライオン、ミルクシスルに注意してください。持病のある方、薬を飲んでいる方も、事前に相談しましょう。1日1〜2杯を目安に、少しの量から始め、体に合わないと感じたらすぐにやめてください。そして、品質の確かな、信頼できるお店のハーブを選ぶことも大切です。
整えることは、自分と対話すること
7つのハーブを並べてみて思うのは、どれも劇的に治すものではない、ということです。カモミールで緊張をほどき、月桃でこわばりをゆるめ、カレンデュラで肌を守り、レモングラスで気持ちをすっきりさせ、桑の葉で食後の重さをやわらげ、ダンディライオンとミルクシスルで肝臓をいたわる。どれも、静かに、じわじわと働いてくれます。
ハーブを選ぶ時間そのものが、「今日の私は、何を必要としているだろう」と自分に問いかける時間になります。その問いかけこそが、いちばんの処方箋なのかもしれません。今日の一杯が、あなたの暮らしをやさしく整えてくれますように。
※本記事は個人の体験と一般的な情報のご紹介であり、病気の診断や治療を目的としたものではありません。気になる症状が続く場合は、医療機関を受診してください。
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