母から受け継いだ「無添加の感覚」
調味料は、母の影響で昔から“無添加”を選ぶのが当たり前でした。
甘さや塩気の強さではなく、素材本来の味を活かすこと。
私にとってそれは特別なこだわりではなく、いつもの家庭の味でした。
けれど、40代に入り、肌のゆらぎや食後の重さ、心の不安定さを感じやすくなったころ。
あらためて気づいたのです。
「やっぱり体は、日々口にするものからできているんだな」と。
母が静かに守っていた選び方は、
今の私の「整える暮らし」のベースにも、しっかりと根を張っていました。
私が選ぶ、“整える調味料たち”
日々のごはんは、特別ではないけれど、毎日続いていくもの。
だからこそ、調味料は「安心できるもの」を選びたい。
そう思いながら、私が台所で使っているのは、こんな調味料たちです。
◎ 有機米酢 美濃(内堀醸造)
岐阜・美濃地方で造られる有機JAS認証の米酢。
国産の有機米のみを使い、静置発酵でじっくり熟成されています。
ツンとしすぎず、まろやかでコクのある酸味は、ドレッシングや甘酢あん、酢の物など幅広く活躍。素材の味を邪魔せず引き立ててくれる酢です。
◎ ムソーの甜菜糖(てんさい糖)
北海道産のビート(甜菜)から作られる、オリゴ糖を含む自然な砂糖。
精製しすぎず蜜分を残した含蜜糖で、体を冷やしにくく、おなかにやさしい甘さが特徴です。
あん、ケーキ、煮物など幅広く使え、冷めた時にも甘さがしっかり感じられます。
◎ 三州三河みりん(角谷文治郎商店)
母に教わった「味の仕上がりが違う」みりん。
もち米・米麹・本格焼酎のみを使い、1年以上熟成させた生詰めの本格みりんです。
コクのある甘さと芳醇な香りで、煮物や照り焼きの味に深みを与えてくれます。
◎ ビオラル 有機エクストラバージンオリーブオイル
南イタリア産の有機オリーブを使った、BIO-RALブランドのオイル。
低温圧搾製法で搾られており、クセがなくまろやか。
蒸し野菜にひとさじ、スープに風味づけとして、素材の味を支えるオイルです。
◎ 森田醤油(島根県・奥出雲町)
明治36年創業の蔵元が、100年以上使われ続ける木桶で2〜3年熟成させて造る醤油。
国産の有機大豆・小麦・天日塩を使用し、化学調味料や保存料は一切不使用。
まろやかで奥行きのある味わいは、煮物や炒めものに“やさしい旨味”を加えてくれます。
◎ オーサワの豆乳マヨ
卵・砂糖・添加物不使用。
国産大豆の豆乳をベースに、有機白味噌やりんご酢、なたね油などでコクを引き出したマヨネーズ風調味料です。
サラダ、ディップ、サンドイッチなどに軽やかに使えます。動物性不使用なのでヴィーガンの方にもおすすめ。
◎ ヒカリ食品のトマトケチャップ&オイスターソース
どちらも有機JAS認証・完全無添加。
ケチャップは完熟トマトや国産有機野菜からつくられ、自然な甘さとまろやかさが特徴。
オイスターソースは牡蠣ではなくイカ魚醤ベースで、クセがなく中華から和洋まで使える万能調味料です。
◎ タカラ「料理のための清酒」
国産米100%使用・無添加・食塩ゼロの料理専用清酒。
独自の「うまみアップ酵母」により、コハク酸などの旨み成分が豊富。
素材の臭みを和らげ、味のしみ込みをよくし、和食の下支え役として重宝しています。
◎ やさか味噌(島根県)
天然醸造・国産素材使用・無添加。
塩気がきつくなく、まろやかで深みのある味噌です。
お味噌汁はもちろん、炒めものやディップにも使える、体が喜ぶ一品。
出汁のとり方も、私なりの“整え習慣”
出汁は、粉末ではなく、家でササッととるのが私の整え習慣。
使う素材は身近なものばかり:
◎ 枕崎産の花かつお:香りがよく、台所にふんわりと出汁の香りが広がるたび、心が整います。
◎ 日高昆布:水に一晩つけるだけで、驚くほどまろやかな旨みが出ます。
◎ 無農薬干し椎茸:常備しておけば、手軽に出汁も具材も。
この出汁をとる時間が、私にとっては「料理の準備」ではなく「自分を整える静かな時間」なのです。
調味料で整った、私の心と体
すぐに劇的な変化があるわけではありません。
けれど、味覚が繊細になり、「この味、ちょっと強すぎるな」と感じるように。
食後の軽やかさ、心の落ち着き、そして「食べることって心地よい」と思える瞬間が増えました。
そして、調味料を選ぶという行為そのものが、料理を“楽しめるもの”に変えてくれたのです。
無理しない。“ちょっとずつ”でいい
すべてを一度に変える必要はありません。
今あるものを使い切ってから、「次はどんな調味料にしようかな?」と選ぶだけでいい。
調味料を整えることは、暮らしを見つめる小さな入口。
がんばらず、背伸びせず、“自分にちょうどいい”を見つける旅です。
調味料は、私の“整えスイッチ”
調味料は、毎日の食卓にさりげなくあるもの。
でもそのひとつひとつが、私の体と心をやさしく整えてくれる存在でもあります。
「今日も、自分を大切にできた」
そう思える一杯のお味噌汁が、私にとっては何よりのごほうび。
これからも、台所という小さな場所から、心と体をやさしく整えていけたらと思っています。