寝る前の環境を整えることって、ちょっとした工夫だと思っていた私。けれど40代になって「眠れているはずなのにスッキリしない」「目覚めてから体が重い」と感じる日が増え、これは“寝るだけ”では済まされないサインなのだと気づきました。研究で世界的に評価される柳沢正史先生の言葉に背中を押されて、私はまず「眠りの質を左右する環境」を整えることから始めました。今回は「光・音・温度」「寝具」「空気の流れ」といったベーシックだけれど見落としがちなポイントを、実体験とともにご紹介します。
光・音・温度。眠りを左右する3つの環境要素
私がこれまで「眠れたらいい」「短くても質がいい睡眠なら大丈夫」と思っていた理由。ですが、柳沢先生の研究によれば、眠る“何時間”かよりも「いつ」「どんな環境で」眠るかが質に大きく影響するという報告があります。
そこで私は、自分の寝室を「眠るための空間」として再構築し始めました。
遮光カーテンと間接照明で「脳を休ませる」夜時間
まず手をつけたのは「光」。寝る直前の強い光や、カーテンから漏れる外の明かりは体内時計を乱し、眠りを浅くする要因になりえます。私は寝室に遮光カーテンを設置し、就寝1時間前からは強い照明をオフ、間接照明のみで柔らかい光に切り替えました。その結果、入眠までの時間が短くなり、朝の目覚めも自然に感じることが増えました。
静けさを整える ― “小さな音ストレス”を手放す工夫
次に見直したのは「音」。耳に届くほどではないけれど、無意識に脳を刺激している“微かな音”は、眠りの質を落とすことがあります。私の場合、隣室からのテレビ音、エアコンの微かな音、スマホ通知の音などが気になっていたため、寝室をリビングから少し離す、エアコンを静音モードにする、夜の家電音をオフにするなどの工夫をしました。音の負荷が減ったことで、夜中に目覚める回数も自然と減っていきました。
快眠を支える温度の基本:16〜28℃が教えてくれること
「眠るのに快適な温度はどこ?」と悩んだとき、柳沢先生の言葉がヒントになりました。快眠を得るための目安として「16〜28℃」が指摘されています。
私の寝室では、冷えやすい体質もふまえて、「26℃・湿度50〜60%」を目安に設定しました。寝入りばなも深夜も寒さや暑さで目が覚めることが減り、結果として“深い眠り”を感じる朝が増えてきました。
枕とマットレスを見直して変わった「翌朝の私」
環境の次は「寝具」。過去は“なんとなくの枕・マットレス”を使っていましたが、長く首や腰に違和感が残ることがありました。あるタイミングで枕の高さ・硬さを専門店で相談し、私に合ったマットレスに切り替えたところ、翌朝の首の重さや腰のだるさが驚くほど軽くなったのです。寝具は「眠るための環境」の中でも体を直接預ける場所。だからこそ、自分に合ったものを選ぶことが“眠りの質を変える”キーになりました。
空気の流れと配置で感じた、“眠りの深さ”の変化
最後に、部屋の“空気”。ベッドの位置を窓際から少しずらし、風の通り道をつくるようにサーキュレーターを低速で回すことにしました。寝具を整えるだけでなく、空気が動くことでこもり感が減り、寝室全体が軽い感覚に。この小さな見直しが、朝起きたときの「スッキリ感」につながっているように感じています。
環境を整えることは、自分をいたわること
「寝る時間=削ってもいいもの」だと思っていた頃の私。けれど40代になった今、眠りは「回復と調整の時間」であり、自分をいたわるための大切なひととき。光・音・温度・寝具・空気。これらを整えることは、外からの刺激を減らし、体と心のリズムを穏やかに戻すための準備です。私自身、眠りの質を少しずつ変えることで、毎朝の目覚めや日中の集中力、気持ちの安定感にも変化を感じています。
40代だからこそ、自分にとっての“眠りの環境”を見直すことが、暮らしそのものを整える第一歩になると信じています。次回は、この環境整備に加えて“夜の行動リズム”を整える私の習慣をご紹介する予定です。ゆるやかに、でも確実に。今日から「眠るための環境」を自分で整えていきましょう。
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▷ 第3回:ショートスリーパーじゃなかった。私が間違っていた睡眠への思い込み

