40代から始める“私に寄り添う薬膳習慣” 第5回:冬の薬膳 ― 冷えを温め、“巡り”を整える季節の養生

③【食・オーガニック・健康食】

40代に入り、冬の寒さが以前より体に響くようになりました。
手足の冷えやむくみ、朝の動きにくさ、やる気の出にくさ…。忙しい毎日の中で「なんとなく整わない自分」に気づく瞬間が増えたと感じている方も多いかもしれません。

薬膳では、冬は“蓄える季節”。
自然界が静かにエネルギーをためるように、私たちの体も“温める・補う”ことで、春に向けて心身の土台を整えていきます。

40代はホルモンバランスや体力の変化から、冷えや疲れを感じやすい時期。だからこそ、冬の過ごし方をほんの少し見直すだけで、体の軽さや気分の安定が大きく変わります。

冬に出やすい“40代の揺らぎ”

薬膳の視点では、冬は体の巡りが滞りやすく、以下の不調が出やすいとされています。

● 手足の冷え・腰のだるさ
→ 40代後半に多い“腎の弱り”のサイン。温める養生が大切。

● むくみ・体の重さ
→ 水の流れが滞り、体が冷えていると起こりやすい。

● 疲れが抜けない・やる気が出ない
→ 寒さで気の動きが弱まり、気力に影響。

冬の薬膳は、この“冷え”と“エネルギー不足”をゆるやかに整えるアプローチです。特別な食材を揃えなくても、いつもの食卓を少しだけ冬仕様にするだけで十分です。

冬におすすめの食材とやさしい取り入れ方

◎ 黒い食材(腎を補い、40代以降の土台づくりに)

黒ごま・黒豆・昆布・ひじき など
黒い食材は腎の働きを助け、冷えや疲れにやさしく作用します。
朝食に黒ごまをひとさじ加えるだけでも、体がふっと温まる感覚があります。

◎ 根菜類(体を芯から温め、巡りをサポート)

にんじん・れんこん・大根・ごぼう など
煮込み料理やスープにすると自然な甘みが出て、心も体もゆるみます。

◎ 冬のたんぱく源(気不足の40代に良い

鶏肉・豚肉・鮭・牡蠣 など
疲れやすい日は、温かい汁物にたんぱく質を加えるだけで、体の中から力が湧いてきます。

◎ 発酵食品(冬の重だるさを軽く)

味噌・甘酒・ぬか漬け・納豆
腸が整うと心の安定にもつながり、冬のメンタルの揺らぎに効果的です。

冬の調理は“火”と“香り”を味方に

冬の養生で大切なのは「体を冷やさないこと」。
煮る・蒸す・炒めるなど、火をしっかり使った温かい料理が向いています。

そして、しょうが・ねぎ・にんにくなどの香味野菜は、巡りを促してくれる心強い味方。冷えた体を内側からじんわり温めてくれます。

黒ごまと根菜の“温めスープ”

(忙しい冬の朝にもおすすめの簡単レシピ)

【材料】
れんこん、にんじん、玉ねぎ、黒ごま、しょうが、ごま油、だし、塩

【作り方】
① 薄切りの根菜をごま油で軽く炒める
② だしを加えて10~15分煮る
③ 香りを立たせた黒ごまを最後に加える

黒ごまのコクと根菜の甘さが、寒い朝の体にそっと寄り添ってくれる一杯です。

冬を“味方”にする暮らしのヒント

冬は、外へ向かうよりも「内側を整える力」が高まる季節。
無理をせず、静かに、自分を温める時間を持つことが、40代の体と心を深いところからサポートしてくれます。

薬膳の知恵は、特別な料理ではありません。
毎日のスープ、根菜の甘み、黒ごまの香り…。小さな積み重ねが冬の不調をやわらげ、春を軽やかに迎える土台を作ります。

季節に寄り添う食卓が、あなたの“私時間”をやさしく支えてくれますように。

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