40代から始める“私に寄り添う薬膳習慣”第6回:冬の薬膳 ― “温めて蓄える”力を育てる

③【食・オーガニック・健康食】

40代に入ると、冬の寒さが体の奥までしみ込むように感じる日が増えました。
手足の冷え、朝のだるさ、肩のこわばり、なんとなく気力が湧かない……。
冬はどうしてもエネルギーが内にこもりやすく、巡りが停滞しやすい季節です。

薬膳では、冬は 「補腎(ほじん)」と「温補(おんぽ)」の季節 といわれています。
自然界が静かにエネルギーを蓄えるように、私たちの体も“温めて補う”ことで、春に向けた土台が整い始めます。

40代はホルモンや代謝の変化が始まる時期。
だからこそ冬の食事を少し整えるだけで、体の軽さや気分の安定が驚くほど変わります。

冬は「補腎」と「温補」の季節

薬膳では、“腎”は生命エネルギーの源。
40代以降は腎の働きがゆるやかに弱まりやすく、冷え・疲れ・むくみが出やすいといわれています。

冬はこの腎を補い、体を温めながらエネルギーを蓄える季節。

● 冷えやすい
● 代謝が落ちた気がする
● 朝の目覚めが重い
● 疲れが抜けにくい

こうしたサインは、“腎を補い、温める養生”が必要な合図です。
特別なことをしなくても、食材の選び方と調理法を少し変えるだけで、体の芯から整いやすくなります。

冬に取り入れたい食材とその力

◎ 黒い食材(腎を補い、40代の土台をつくる)

黒豆・黒ごま・昆布・ひじき など

黒色の食材は腎の働きをサポートし、冬の冷え・疲れに特に心強い味方。
朝のヨーグルトに黒ごまをかけたり、黒豆を煮物に加えるだけでも体がじんわり温まる感覚が生まれます。

◎ 根菜類(体を芯から温め、巡りを整える)

にんじん・ごぼう・大根・れんこん など

地中で育つ根菜は、体を温める力が強く、冬の薬膳に欠かせません。
煮込み料理にすると、甘みが増して心までゆるむような温かさが広がります。

◎ 体を温める香味野菜(巡りを促す)

にんにく・しょうが・ねぎ など

冬の“巡り不足”にとても効果的。
ちょっと加えるだけで血流が動き、内側からポカポカしてきます。

◎ 気と血を補う食材(冬の疲れ対策に)

黒豆・なつめ・鶏肉・豚肉・鮭

とくになつめは、40代の疲れやすさやメンタルの揺らぎをやさしく支えてくれる、心と体の“冬のお守り”的な存在です。

“温めて蓄える”冬の調理のポイント

冬の調理は、体を冷やさないためにも “火をじっくり使う” ことがポイント。

◎ 煮る
◎ 蒸す
◎ 炒める
◎ スープにする

といった温かい調理法が向いています。
また、にんにくやしょうがの香りは冬の巡りをサポートし、体がほぐれやすくなります。

「冷たいものを控えて、温かいものを増やす。」
これだけでも、40代の体はぐっと楽になります。

黒豆とごぼうの“ほっこり煮込み”

冬の夜にぴったりの、簡単で体にしみ込む一品です。

【材料】
黒豆(ゆでたもの)、ごぼう、にんじん、しょうが、だし、しょうゆ、みりん

【作り方】
① ごぼうとにんじんを食べやすい大きさに切る
② 鍋にだし・しょうがを入れ、野菜を10〜15分煮る
③ ゆでた黒豆を加え、しょうゆ・みりんで軽く調味
④ 弱火でさらに10分煮込む

黒豆のコク、ごぼうの旨み、しょうがの温かさがひとつにまとまり、食べ終わる頃には体の芯がじんわり温まります。

冬を支えてくれる、やさしい食卓づくり

冬は、外に向かう季節ではなく“内側を整える季節”。
無理にがんばるより、体にやさしい温め食材を選び、少しずつ力を蓄えることで、40代の体が軽くなり、気持ちも整っていきます。

薬膳は特別ではなく、日々の食卓の中にある小さな工夫。
黒豆のやさしい甘み、根菜の温かさ、なつめのふわっとした香り……。
その積み重ねが、あなたの“冬の私時間”を深いところから支えてくれます。

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▷ 第3回:五性・五味で知る、食材のチカラ
▷ 第4回:体質チェック ― “今の私”を知る薬膳診断
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