科名で読み解くハーブの世界 ― 11の”性格”で覚える、ハーブとスパイス

②【食】

バジルとミント。まったく違う香りなのに、どちらも同じ「シソ科」だとご存じでしたか。セージも、タイムも、ローズマリーも、実はみんな親戚です。

ハーブやスパイスを覚えようとすると、その種類の多さに圧倒されてしまいます。でも、「科(か)」という分類で見てみると、似た性質を持つもの同士が、きれいにまとまっていることに気づきます。シソ科は香りが強い。セリ科は食後に重宝されてきた。ショウガ科は体を温める。この「家族の傾向」を知っておくだけで、ハーブ選びがぐっと楽になります。

そこでこの記事では、11の科を「性格」にたとえてご紹介します。シソ科は、香りで人を癒やすおしゃべり上手。セリ科は、食後にそっと寄り添う気づかい上手。ショウガ科は、体を温める情熱家。そんなふうに覚えると、不思議と頭に入りやすくなるのです。

上から順に読んでも、気になる科から読んでも構いません。「あのスパイス、何科だっけ?」と思ったときに、辞書のように開いていただけるようにまとめました。

※本記事は一般的な情報のご紹介です。妊娠中・授乳中の方、持病のある方、服薬中の方は、ハーブやスパイスを多く摂ることについて、医師や薬剤師にご相談ください。

科名性格代表的なハーブ・スパイス
シソ科香りで癒やす、おしゃべり上手バジル、ミント、オレガノ、タイム
セリ科食後に寄り添う、気づかい上手パセリ、ディル、クミン、コリアンダー
ショウガ科体を温める、情熱家ジンジャー、ターメリック、カルダモン
ナス科食卓を華やかにする、ムードメーカー唐辛子、パプリカ
コショウ科ピリッと刺激の、行動派ブラックペッパー、ロングペッパー
フトモモ科甘く深い、包容力タイプクローブ、オールスパイス
クスノキ科記憶と癒しの、穏やかさんシナモン、ローリエ
ニクズク科味を支える、控えめな達人ナツメグ、メース
アブラナ科シャキッと目覚めさせる、気つけ役わさび、マスタード
ミカン科爽やかな、前向きリーダーゆず、山椒、オレンジピール
キク科・ユリ科やさしく癒す母性の人/暮らしに寄り添う友達カモミール、よもぎ/にんにく、玉ねぎ

シソ科 ― 香りで癒やす、おしゃべり上手

ハーブの世界で、いちばん顔ぶれが多いのがシソ科です。バジル、セージ、タイム、ローズマリー、オレガノ、ミント、レモンバーム、ラベンダー。料理でもアロマでも、主役を張るものばかりで、まさに香りでその場を明るくするおしゃべり上手です。

シソ科の植物は、葉の表面に「腺鱗(せんりん)」という小さな袋を持っていて、そこに精油成分を蓄えています。葉に触れるだけで香りが立つのは、この袋が壊れて、成分が外に出てくるからです。触れると香る。これが、シソ科の大きな特徴です。

バジルは甘く華やかな香りで、トマトとの相性は抜群です。加熱に弱いので、仕上げに加えるのがコツです。ミントは清涼感の代表で、ペパーミントやスペアミントなど種類も豊富。繁殖力がとても強いので、庭に植えるなら鉢植えがおすすめです。オレガノはトマト料理やピザに欠かせない力強い香りで、乾燥させたほうが香りが立つという、珍しい性質を持っています。セージは少し渋みのある大人の香りで、肉料理の臭み消しに。タイムは清々しい香りで、スープや煮込みに。ローズマリーは「記憶のハーブ」とも呼ばれる鮮やかな香りで、鶏肉やじゃがいもによく合います。レモンバームはやわらかなレモンの香りで、ハーブティーに向いています。

使い分けのコツは、加熱に強いかどうかです。バジルやミント、レモンバームは、加熱すると香りが飛ぶので、料理の最後に散らします。オレガノやタイム、ローズマリー、セージは加熱に強いので、煮込みや焼きものに。そして、香りだけを楽しむという使い方もあります。葉を摘んで、手のひらでこすってみてください。それだけで気分が変わる、いちばん手軽なセルフケアかもしれません。

香りは、考えるより先に心に届きます。「疲れたな」と感じたとき、頭で考えるより香りを吸い込むほうが早い。そんな瞬間に、シソ科のハーブは頼りになります。

セリ科 ― 食後に寄り添う、気づかい上手

セリ科は、昔から食後の口直しや、食事のおともとして重宝されてきた一族です。パセリ、ディル、クミン、コリアンダー、フェンネル、アニス、ミツバ、セロリ。料理の脇役に見えて、実は食卓をそっと支えている、気づかい上手です。

シソ科が主に葉を使うのに対して、セリ科は種子(シード)を使うものが多いのが特徴です。クミンシード、コリアンダーシード、フェンネルシード、アニスシード。カレーやスパイス料理で活躍しているのは、この仲間たちです。

フェンネルは甘く爽やかな香りで、食後に噛むと口の中がすっきりします。インド料理店の出口に置かれている、色とりどりの粒がフェンネルシードです。クミンはカレーの香りの主役で、エスニックな香りの正体は、たいていクミンです。コリアンダーは、葉がパクチー、種子がコリアンダーシードで、同じ植物なのに香りがまったく違うのが面白いところです。ディルは魚料理と相性がよく、サーモンのマリネにはこれ。パセリは添えものと思われがちですが、栄養の豊かなハーブです。アニスは甘い香りで、お菓子やリキュールに使われます。ミツバは日本のセリ科で、お吸いものや茶碗蒸しに欠かせません。

食後にフェンネルシードをひとつまみ噛むと、口の中がすっきりして、食後の重さも軽くなる気がします。いつものスープにクミンをひとつまみ加えれば、一気にエスニックな味わいに。パセリは、買ってきたら刻んで冷凍しておくと、いつでも彩りに使えます。

セリ科は、アレルギーを起こすことがあります。セロリにアレルギーのある方は、同じ科のスパイスにも反応する場合があるので注意してください。

※妊娠中の方は、フェンネルやアニスを多く摂るのは避けたほうが安心とされています。

ショウガ科 ― 体を温める、情熱家

ショウガ科は、体を温める働きで知られる一族です。ジンジャー(生姜)、ターメリック(ウコン)、カルダモン、ガランガル。熱帯の植物でありながら、冷えた体を温めてくれる、そんな存在です。

ショウガ科で使うのは、地下の「根茎(こんけい)」です。葉でも種でもなく、土の中の部分。大地の力を蓄えた部分を、私たちはいただいているのです。

ジンジャーは、日本人にいちばんなじみのあるスパイスでしょう。生か、加熱・乾燥させたものかで、働きが変わるとされています。生の生姜の主な成分はジンゲロールで、抗菌作用が知られています。加熱したり乾燥させたりするとショウガオールという成分に変わり、体を温める働きが強まるとされています。冷えが気になるときは、加熱して使うのがおすすめです。

ターメリックは、カレーの黄色のもとです。クルクミンという成分を含み、土のような独特の香りがあります。単体では使いにくいので、ほかのスパイスと合わせるのがコツです。カルダモンは「スパイスの女王」と呼ばれる気品のある香りで、チャイに欠かせません。さやを軽くつぶして使います。

冷えた日には、すりおろした生姜にお湯とはちみつを合わせた生姜湯。シンプルですが、いちばん確かです。紅茶につぶしたカルダモンを1〜2粒入れて、牛乳や豆乳で煮出せば、香りの立つチャイになります。ターメリックのクルクミンは油に溶けやすいとされているので、油で炒めてから使うと、なじみやすくなります。

ターメリック(ウコン)は、肝臓に関わる報告があります。サプリメントのように濃縮されたものを摂る場合は、注意が必要です。料理に使う程度の量であれば、一般的には問題ないとされています。

※肝臓の働きに不安のある方、服薬中の方は、医師にご相談ください。

ナス科 ― 食卓を華やかにする、ムードメーカー

ナス科と聞くと、なすやトマト、じゃがいもを思い浮かべるかもしれません。スパイスの世界でも、この一族は活躍しています。唐辛子、パプリカ、カイエンペッパー。赤い色と刺激で、食卓を盛り上げるムードメーカーです。

唐辛子の辛さのもとは、カプサイシンという成分です。体を温め、代謝を活発にするとされています。面白いのは、同じナス科でも、パプリカにはこの辛味成分がほとんどないことです。

唐辛子は、世界に数千もの種類があるともいわれます。日本の鷹の爪、韓国の粉唐辛子、メキシコのハラペーニョ。同じ唐辛子でも、辛さも風味もまったく違います。パプリカの粉は、辛くないのに色と甘い香りをつけてくれる、頼りになるスパイスです。料理に赤みを足したいときに重宝し、ハンガリーの料理には欠かせません。カイエンペッパーは、辛味の強い唐辛子を細かく挽いたもので、少量でよく効きます。

パプリカパウダーは、卵料理やじゃがいも、鶏肉にふりかけるだけで、料理が華やかになります。辛くないので、子どもがいる家庭でも安心です。唐辛子は、少しずつ。辛さは後から足せても、引くことはできません。辛味の成分は油に溶けやすいとされているので、炒め油に唐辛子を入れて香りと辛味を移すのもおすすめです。ペペロンチーノは、まさにこの方法です。

ただ、胃腸が弱っているときは、辛味が刺激になります。食べすぎると、胃の粘膜に負担がかかることも。元気なときに、少しだけ。この距離感が、ちょうどいいと思います。

コショウ科 ― ピリッと刺激の、行動派

こしょうは、かつて「黒い黄金」と呼ばれ、金と同じくらい貴重なものとして扱われた時代がありました。大航海時代を動かした理由のひとつともいわれる、歴史を動かしたスパイスです。ブラックペッパー、ホワイトペッパー、ロングペッパー(ヒハツ)。ピリッとした刺激で、料理も気分も引き締める行動派です。

黒こしょうと白こしょうは、実は同じ実からつくられます。

収穫の時期加工風味
黒こしょう熟す前の実皮ごと乾燥香りが強く、力強い
白こしょう熟した実皮を取り除いて乾燥まろやかで上品

魚や白い料理には白、肉には黒、という使い分けもあります。ブラックペッパーは、いちばん使い道の広いスパイスで、挽きたてのおいしさは格別です。ミルで挽く習慣を持つだけで、料理がひと味変わります。ホワイトペッパーは、色をつけたくないポタージュや白身魚のソテーに。ロングペッパーは、細長い形をした東南アジア生まれのこしょうで、日本では沖縄の「ヒハツモドキ」が知られています。血のめぐりに関わる成分が注目され、冷え対策として使われることもあります。

こしょうの香りの成分は、空気に触れると飛びやすいとされていて、あらかじめ挽いたものは香りが抜けていることもあります。加熱しすぎても香りが飛ぶので、仕上げにひと挽きするのがコツです。こしょうの刺激があると、塩が少なくても物足りなさを感じにくいので、減塩したい方には心強い味方にもなります。

フトモモ科 ― 甘く深い、包容力タイプ

フトモモ科という名前は、あまり聞き慣れないかもしれません。でも、クローブ(丁子)やオールスパイス、そしてユーカリやティートゥリーも、この仲間です。甘くて深く、包み込むような香りで、冬の飲みものやお菓子に欠かせない存在です。

クローブは、開く前の花のつぼみを乾燥させたものです。小さな釘のような形をしているので、日本では「丁子(ちょうじ)」と呼ばれます。英語の「clove」も、釘を意味するラテン語が語源とされています。濃厚で甘い独特の香りがとても強いので、使うのは1〜2粒で十分です。歯医者さんのような香りだと感じる方もいるかもしれません。実際、古くから歯の痛みに使われてきた歴史があります。

オールスパイスは、シナモンとクローブとナツメグを合わせたような香りから、この名前がつきました。ひとつで何種類ものスパイスの役目を果たしてくれるので、スパイスに慣れていない方にもおすすめです。

ホットワインやチャイにクローブを1〜2粒入れて煮出すと、部屋中に冬の香りが広がります。りんごにクローブを刺して焼くのも、定番の組み合わせです。オレンジにクローブを刺して乾かした飾りは「ポマンダー」と呼ばれ、ヨーロッパでは魔除けやお守りとしてつくられてきました。香りが長く続くので、クローゼットに吊るしておくのもおすすめです。

クローブは、香りも成分もとても強いスパイスです。精油を肌に使う場合は、とくに慎重にしてください。

※妊娠中の方や小さなお子さんへの使用は、避けたほうが安心とされています。

クスノキ科 ― 記憶と癒しの、穏やかさん

クスノキ科は、木の仲間です。シナモン(桂皮)やローリエ(月桂樹)、クスノキ。樹皮や葉から、穏やかで深い香りが生まれます。主張しすぎず、料理全体を静かに支える、穏やかさんです。

シナモンは、木の皮を乾燥させたものです。棒のように丸まっているのは、乾燥していく途中で自然に巻いていくからです。シナモンには、実は2つの種類があります。

セイロンシナモンカシア
産地スリランカ中国、ベトナム
風味繊細で上品濃厚で甘い
値段高め手頃

日本で「シナモン」として売られているものの多くは、カシアです。カシアにはクマリンという成分が含まれていて、たくさん摂ると肝臓に負担がかかる可能性が指摘されています。毎日たくさん摂るなら、セイロンシナモンを選ぶという方法もあります。

ローリエは、煮込み料理に1枚入れるだけで、味に奥行きが出ます。入れっぱなしにすると苦みが出るので、煮込み終わったら取り出すのがコツです。古代ギリシャでは、勝者の冠にも使われました。カレーやシチュー、ポトフ、ピクルスにと、1枚あるだけで料理が本格的になるので、常備しておくと便利です。

コーヒーやミルクにシナモンをひとふりすると、体が温まるような気がします。シナモンの香りは記憶と結びつきやすいともいわれます。子どもの頃のお菓子、旅先のカフェ。香りが時間を越えて、何かを連れてくることがあります。

ニクズク科 ― 味を支える、控えめな達人

ニクズク科は、ナツメグとメースを生む一族です。面白いのは、この2つが同じ実から採れることです。

ナツメグメース
部位種子種子を包む網のような皮
風味甘く、濃厚繊細で上品
値段手頃高価

メースは採れる量が少ないので、ナツメグより高価になります。

ナツメグは、ハンバーグに欠かせないスパイスとして知られています。肉の臭みを消し、コクを出してくれる、まさに控えめな達人です。主役ではないけれど、ないと物足りない。ホワイトソースやじゃがいもの料理にも合います。メースはナツメグより繊細で上品な香りで、魚介や白い料理に向いています。

ハンバーグにナツメグを入れるか入れないかで、味はまったく違います。なんとなく物足りないと感じたら、ナツメグが足りていないのかもしれません。グラタンやシチューのホワイトソースにも、ほんの少し。ナツメグは丸ごと(ホール)でも売られていて、専用のおろし器で削ると、香りがまったく違います。

ナツメグは、たくさん摂ることに注意が必要なスパイスです。一度に多く摂ると、めまいや吐き気などの症状が出ることが報告されています。料理に使う程度の量であれば問題ありませんが、たくさん入れればおいしくなる、という種類のスパイスではないことを覚えておいてください。

※妊娠中の方は、多く摂るのは避けたほうが安心とされています。

アブラナ科 ― シャキッと目覚めさせる、気つけ役

わさび、マスタード(からし)、ホースラディッシュ(西洋わさび)、大根。アブラナ科の辛さは、唐辛子とはまったく違います。舌ではなく、鼻に抜ける刺激。これが、アブラナ科の特徴です。

辛さのもとは、アリルイソチオシアネートという成分です。面白いのは、すりおろす前は辛くないことです。すりおろして細胞が壊れると、酵素が働いて、辛味成分が生まれます。だから、わさびはすりおろしてすぐがいちばん辛く、時間が経つと辛さが飛んでしまいます。

わさびには、本わさびと、西洋わさび(ホースラディッシュ)を使った練りわさびがあり、原材料の表示を見ると違いが分かります。マスタード(からし)は種子をすりつぶしたもので、和がらしは辛さが強く、洋がらしはまろやかな傾向があります。ホースラディッシュは、ローストビーフの付け合わせでおなじみです。

すりおろしたら、すぐに使う。熱で辛味成分が壊れるので、加熱せずに仕上げに添える。これが基本です。わさびがお刺身に添えられるのは、抗菌作用があるからだともいわれています。

アブラナ科には、野菜もたくさんあります。ブロッコリー、キャベツ、大根、かぶ、小松菜、菜の花、白菜。これらに含まれる成分が健康の面から注目されている、という話を聞いたことがあるかもしれません。スパイスも野菜も、同じ家族。そう思うと、食卓の見え方が変わります。

ミカン科 ― 爽やかな、前向きリーダー

ゆず、レモン、オレンジ、山椒、花椒、カフィアライム。ミカン科は、爽やかで明るい香りが特徴です。気持ちを切り替えたいとき、前を向きたいとき、この香りが助けてくれます。

意外に思われるかもしれませんが、山椒も花椒もミカン科です。あのしびれるような感覚は柑橘とはまったく違いますが、よく嗅ぐと、爽やかな柑橘の香りが隠れています。

ゆずは日本を代表する香りで、皮に香りが集中しているので、すりおろして使うのが効果的です。山椒はうなぎに欠かせない日本のスパイスで、「木の芽」は山椒の若葉です。花椒(ホアジャオ)は中国の四川料理に使われる、しびれる辛さのもとで、麻婆豆腐のしびれの正体です。山椒とは別の種類で、より強い刺激があります。オレンジピールはオレンジの皮を乾燥させたもので、ハーブティーにブレンドすると、甘く華やかな香りになります。カフィアライム(バイマックルー)は、トムヤムクンやグリーンカレーに使われる東南アジアの柑橘の葉です。

朝の白湯やお茶に、ゆずの皮をひとかけら浮かべるだけで、朝の空気が変わります。ゆず塩やレモン塩は簡単につくれて、料理の幅が広がります。皮をむくときの香りを楽しむのも、立派なセルフケアです。

ひとつ注意したいのが、柑橘の精油の「光毒性」です。肌につけたまま紫外線を浴びると、シミや炎症のもとになることがあります。ベルガモット、レモン、グレープフルーツなどの精油は、日中に肌に使うのを避けるか、光毒性を取り除いた製品を選んでください。詳しくは、精油の安全な使い方をまとめた記事もご覧ください。

キク科・ユリ科 ― やさしく癒す母性の人と、暮らしに寄り添う友達

最後は、性格の違う2つの科をご紹介します。

キク科 ― やさしく癒す、母性の人

カモミール、タラゴン、よもぎ、カレンデュラ、エキナセア。キク科は、癒しのハーブが多い一族です。「マザーハーブ」と呼ばれるカモミールが象徴するように、包み込むようなやさしさが持ち味です。

カモミールは、りんごのような甘い香りで、眠る前のハーブティーとして世界中で親しまれています。よもぎは日本のキク科で、草餅やお灸、よもぎ蒸しと、古くから暮らしの中で親しまれてきました。タラゴンはフランス料理に欠かせないハーブで、甘く上品な香りが魚や鶏肉によく合います。「エストラゴン」とも呼ばれます。

キク科にアレルギーのある方は、注意が必要です。ブタクサやよもぎ、菊などにアレルギーがある方は、カモミールやカレンデュラでも症状が出ることがあります。初めて使うときは、少しの量から試してください。

ユリ科 ― 暮らしに寄り添う、友達

にんにく、玉ねぎ、ねぎ、にら、らっきょう、アスパラガス。毎日の料理に、当たり前のようにある存在で、まさに暮らしに寄り添う友達です。

※植物の分類は見直しが進んでいて、にんにくや玉ねぎは現在「ヒガンバナ科」に分類されていますが、慣れ親しんだ呼び方としてユリ科とされることも多いため、ここではユリ科としてご紹介しています。

にんにくや玉ねぎを切ると涙が出るのは、硫化アリルという成分のためです。この成分が、独特の香りと風味を生んでいます。加熱すると、香りも成分も変わります。

にんにくは、世界中の料理で使われる、頼もしい風味づけです。生と加熱では、まったく別の顔を見せます。切り方でも香りが変わり、丸ごとなら穏やかに、薄切りなら中くらいに、すりおろすといちばん強く香ります。料理に合わせて切り方を変えると、使いやすくなります。玉ねぎは、加熱すると甘くなるのが特徴で、炒める時間によって味がまったく変わります。じっくり炒めるのは時間がかかりますが、甘みが違います。まとめて炒めて冷凍しておくと便利です。にらやねぎは、日本と東アジアの食卓に欠かせない存在です。

にんにくを生で食べると、胃腸の刺激になることがあります。空腹のときや、胃腸が弱っているときは控えめにしてください。

科名を知ると、選び方が変わる

シソ科は香りで癒やし、セリ科は食卓に寄り添い、ショウガ科は体を温める。ナス科は彩りを、コショウ科は刺激を、フトモモ科は深みをくれる。クスノキ科は穏やかに、ニクズク科は静かに支え、アブラナ科は目を覚まさせる。ミカン科は前を向かせ、キク科は癒やし、ユリ科は毎日に寄り添う。

科名を知っておくと、便利なことが3つあります。ひとつは、代わりが見つかることです。同じ科のものは性質が似ているので、バジルがないときに、同じシソ科のオレガノやタイムで代用できることがあります。ふたつ目は、組み合わせ方が分かることです。違う科のものを合わせると、味に立体感が出ます。シソ科の香りに、セリ科の種子、ショウガ科の温かさ。カレーのスパイスの組み合わせは、まさにこれです。三つ目は、アレルギーに気づけることです。セロリでかゆくなるなら、同じセリ科のスパイスにも注意が必要かもしれません。科名を知っていると、こうしたつながりに気づけます。

とはいえ、すべてを覚える必要はありません。「あれ、何科だっけ?」と思ったときに、このページを開いていただければ十分です。「今日は、おしゃべり上手のシソ科に頼ろう」「食後だから、気づかい上手のセリ科を」「冷えるから、情熱家のショウガ科の出番」。性格で覚えると、不思議と使いこなせるようになります。台所に並ぶ小さな瓶たちが、少しだけ親しく感じられますように。

※本記事は一般的な情報のご紹介です。妊娠中・授乳中の方、持病のある方、服薬中の方は、ハーブやスパイスを多く摂ることについて、医師や薬剤師にご相談ください。アレルギー体質の方は、初めて使うものは少しの量から試してください。体調に変化を感じた場合は、使うのをやめてください。

※あわせて読みたい:ハーブとスパイスの基本はハーブとスパイスの違い、効能で選びたい方は季節の不調をいたわるハーブ図鑑と心と眠りを整えるハーブ図鑑、世界のミックスハーブはラタトゥイユが、店の味になった日、精油の安全な使い方は精油と安全に付き合うためのガイドへ。

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