40代からの油の選び方 完全版 ― 酸化しにくい油ベスト5と、食用・美容用の使い分け

②【食】

毎日いつもどおりに使っている油が、実は体や暮らしに静かに影響している。そのことに気づいたのは、40代になってからでした。揚げ物や炒め物、ドレッシング。料理に欠かせない油だからこそ、選び方や使い方に少し気を配るだけで、体へのやさしさがぐっと変わります。

「油は太るもの」「避けたほうがいい」。長いあいだ、私もそう思っていました。でも40代を迎えて、肌のツヤが減り、疲れが抜けにくくなり、気分にむらを感じるようになってから、油を悪者にする考えをゆるめました。体に取り入れる脂は、細胞やホルモンの材料になり、エネルギーにもなる大切な栄養です。だからこそ、避けるより選ぶことが、自分らしい暮らしにつながるのだと考えが変わりました。

この記事では、酸化しにくい油、オメガ3とオメガ6のバランス、ごま油の種類の違い、食用と美容用の使い分け、そして保存の基本まで、油についての疑問をひととおりまとめました。すべてを完璧にする必要はありません。気になったところから、取り入れていただけたらうれしいです。

油の「酸化」を知る

油は、空気や熱、光に触れることで、少しずつ酸化していきます。酸化した油は、味や香りが変わるだけでなく、体に負担をかける物質を生みやすくなるともいわれています。若い頃は気にならなかったことも、40代の今は敏感に感じるようになりました。だからこそ、酸化しにくい油を選ぶことは、小さなセルフケアのひとつだと思っています。

ただ、神経質になる必要はありません。油が酸化するのは自然なことで、すべての油が危険なわけでもありません。大切なのは、完璧に管理することではなく、やさしく整えることです。開封したらなるべく早く使う。直射日光の当たらないところに置く。高い温度で長く加熱しない。この3つを意識するだけで、十分だと思います。

酸化しにくい油、ベスト5

私が実際に調べて選び、今の暮らしに取り入れている、酸化しにくい油をご紹介します。

1位 椿油 ― 昔ながらの、やさしい安定感

意外に思われるかもしれませんが、食用の椿油は、酸化に強いオレイン酸を80〜88%ほども含んでいて、熱にも比較的安定しています。日本では昔から、食用にも美容にも使われてきた油です。くせが少なく、素材の味を引き立ててくれるので、揚げ物や炒め物、週末のおかずづくりにもぴったりです。

2位 マカダミアナッツオイル ― 熱にも香りにも強い

オレイン酸に加えて、パルミトレイン酸という脂肪酸を多く含み、熱に強いのが特徴です。ナッツのやさしい香りは、炒め物やグリル料理にもよく合い、調理中の香りまで心地よく感じられます。いつもの料理に、ひと味加えてくれる存在です。

3位 オリーブオイル ― 定番こそ、頼れる

誰もが知っているオリーブオイルは、やはり頼れる一本です。酸化に強いオレイン酸が主な成分で、抗酸化物質のポリフェノールも含まれています。生のままでも、弱火の調理にも向いていて、私の台所にいつもある安心です。とくにエクストラバージンオリーブオイルは香りも豊かで、ドレッシングにもおすすめです。

4位 米油 ― 和の食卓に溶け込む

米ぬかからつくられる米油は、オレイン酸とリノール酸のバランスがよく、ビタミンEやγ-オリザノールといった抗酸化成分も含んでいます。くせがなく、和洋中どんな料理にも合うので、わが家では唐揚げや、お味噌汁の具を炒めるときにも活躍しています。揚げ物のあとの香りが軽いのも、うれしいところです。

5位 ごま油 ― 香りで満たす、上手な使い方を

香ばしい香りが魅力のごま油は、リノール酸が多く、本来は酸化しやすい面もあります。それでも、セサミンなどの抗酸化物質を含んでいるので、使い方次第で心強い存在になります。炒め物より、仕上げの香りづけや和え物に使うと、酸化の心配を減らしながら、料理に深みを加えてくれます。ごま油には種類があり、性質も違うので、くわしくは後の章でお伝えします。

バランスという視点

酸化のしにくさのほかに、もうひとつ大切な視点があります。脂肪酸のバランスです。

今の食生活は、外食や加工食品から、知らず知らずのうちにオメガ6系の脂肪酸(リノール酸など)を多く摂りがちだといわれています。オメガ6も体に必要な脂肪酸ですが、とりすぎるとバランスが崩れやすくなります。一方、えごま油や亜麻仁油、青魚に含まれるオメガ3系の脂肪酸は、魚を食べる機会が減ると不足しやすいとされています。摂りたい量の目安は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」にも示されています。

つまり、どれかひとつの油ばかりではなく、いろいろな油をほどよく取り入れるバランスこそが、年齢を重ねた肌と体を整える鍵になるのだと思います。この油がいい、と決めつけずに、その日の料理と体調で選び分ける。それが、私がたどり着いた答えです。

使い分けという習慣

ひとつの油にかたよらず、目的や時間帯によって使い分けるようになってから、食事の楽しさが深まりました。今、私の台所には6本の油があります。

朝は、コーヒーやスープにMCTオイルを数滴。すばやくエネルギーになるといわれていて、重だるさがすっと抜けるように感じます。においも味もないので取り入れやすいのですが、加熱には向かず、一度にたくさん摂るとお腹がゆるくなることがあるので、少しずつ試してください。ココナッツオイルは、スイーツやスムージーにほんの少し。甘さの中に自然な香りがあって、気持ちがほっとゆるみます。

和食の炒め物や味噌汁には、太白ごま油(精製タイプ)を使います。くせがなく、毎日使いやすいので、いちばん登場回数が多い油です。和え物やナムルには、焙煎ごま油を少し。香りとコクが加わるだけで、食卓の満足感がぐっと深まります。えごま油や亜麻仁油は、火を通さずに、サラダや冷ややっこにひとまわし。オメガ3の脂肪酸を手軽に摂ることができます。そして、トマトや魚の洋風の料理には、エクストラバージンオリーブオイルです。

「今日は、どの油が合っているかな」。そのときの体調や気分で選ぶようになってから、食事が自然と整っていきました。以前よりお通じが整い、肌の乾燥が落ち着いて、日中の疲れも気になりにくくなった気がします。料理のたびに「今日はこれを使ってみよう」と思うだけで、心が静かに満たされる感覚もありました。

ごま油の種類を整理する

ごま油は、気づけばずっと家にある調味料です。でも、「このごま油、今の料理に合っているのかな」と、ふと迷うことはありませんか。焙煎、太白、純正、調合。ラベルの言葉は見たことがあっても、違いをきちんと説明できる人は、意外と少ないものです。

ごま油の違いは、ごまを焙煎しているかどうか、そして、ごま油100%か、ほかの油と混ぜているか、という2つの軸で整理すると、ぐっと分かりやすくなります。

種類特徴主な使い道
焙煎ごま油ごまを炒ってから搾る。琥珀色で香ばしい香りが強い中華の炒め物、チャーハン、スープの仕上げ、ナムル
精製ごま油(太白など)焙煎せずに精製。ほぼ無色で、においもくせも少ない天ぷらや揚げ物、お菓子づくり、香りを出したくない料理
純正ごま油中身がごま油100%。多くは焙煎タイプで風味が濃いドレッシング、たれ、冷ややっこ、たたききゅうり
調合ごま油ほかの植物油にごま油を混ぜたもの。香りはほどほど、値段は控えめ毎日の炒め物や揚げ物、たくさん使うとき
白ごま油・黒ごま油ごまの色と焙煎の度合いで、風味や色が変わる淡い色の料理には白、香りを重視するなら黒

すべてを最高級のものでそろえる必要はありません。香りを足したいときは焙煎ごま油か純正ごま油、油として使いたいときは太白のような精製ごま油、毎日たくさん使うときは調合ごま油。役割を分けて3本あるだけで、料理のたびに迷う時間が減り、台所の空気が少し静かになります。

食用と美容用は、違うもの

40代になって、肌も体も敏感になった頃、「食用のオイルを肌に使ってもいいの?」「美容用のオイルを食べてもいいの?」という疑問が湧いてきました。調べてみると、つくられ方や目的に、はっきりした違いがありました。

食用のオイルは、食べることを目的につくられていて、おいしさや風味、栄養が重視されています。香りの成分などが残っていることもあり、肌に塗ると刺激になることがあります。食品としての基準でつくられているので、肌に使うことは想定されていません。一方、化粧品として売られている美容用のオイルは、肌になじむ感触や使い心地、肌への安全性を重視してつくられています。

ですから、食用のオイルは食べるために、美容用のオイルは肌や髪に塗るために。目的に合わせて、きちんと使い分けることが大切です。

オイル特徴主な使い道
ホホバオイル皮脂に近い成分で肌なじみがよく、酸化しにくい全身の保湿、顔のケア、頭皮や髪のケア
アーモンドオイルやわらかな保湿感ボディマッサージ、乾燥肌のケア
アルガンオイルビタミンEを多く含む顔のケア、髪のケア
スクワランオイルとても軽い使い心地で、酸化しにくい朝のスキンケア、メイク前の保湿
グレープシードオイル軽い仕上がりボディマッサージ、皮脂の多い肌のケア
マカダミアナッツオイルパルミトレイン酸を多く含み、肌なじみがよい乾燥が気になる肌のケア、マッサージ

マカダミアナッツオイルに多いパルミトレイン酸は、もともと人の皮脂にも含まれていて、年齢とともに減りやすいといわれています。肌にすっとなじんで、べたつきが残りにくいことから、「消えるオイル」と呼ばれることもあります。

※肌に使う前は、必ずパッチテストをしてください。ナッツアレルギーのある方は、マカダミアナッツオイルやアーモンドオイルは使わないでください。

保存と、揚げ物との距離感

油の酸化を防ぐために、私が意識しているのは3つだけです。ひとつは、開封したら冷暗所に置くこと。直射日光とコンロの近くは避けます。よく使うからとコンロの横に置いている方は多いのですが、熱で酸化が進んでしまいます。ふたつ目は、できるだけ早く使い切ること。大容量より、使い切れるサイズを選ぶほうが、結局は無駄がありません。三つ目は、強火で長く加熱しないこと。温度が高くなるほど、酸化は早く進みます。

※えごま油、亜麻仁油、MCTオイルは、とくに酸化しやすい油です。冷蔵庫で保存し、開封後1〜2か月を目安に使い切ってください。加熱する料理にも向きません。

油の影響を感じやすいのが、揚げ物です。からあげや天ぷらは満足感のある料理ですが、続くと少し重く感じることもあります。以前の私は特に気にせず食べていましたが、毎週だったものを隔週にしたり、外食のときに少し意識して選んだりするようになりました。それだけでも、食後の軽さが変わってくる感覚がありました。やめるのではなく、ちょうどいい距離感を見つけること。それが、長く続けるコツだと感じています。

いちばん取り入れやすかったのは、使う油を変えることでした。サラダ油をオリーブオイルにする。仕上げに、ごま油を少し加える。ほんの小さな変化ですが、料理の風味が変わり、食事の満足感も高まります。何より、整えているという実感が、毎日の安心感につながっていきました。

「避ける」より「選ぶ」暮らしへ

私が油を選ぶときに見ているのは、酸化に強いこと、香りや風味が心地よいこと、そして暮らしのリズムに合うことの3つです。体にいい油、ではなく、私に合う油を。そんな視点で油と向き合うと、台所の時間が、もっと楽しく、自分らしくなる気がしています。

40代からの暮らしは、抑えることより、選ぶことが鍵になると思います。油も、ただ避ける対象ではなく、自分の体と心を整えるためのパートナーです。もし、いつもの油をずっとそのまま使っているなら、今日から少しだけ、違う油を選んでみませんか。目立たないけれど毎日使うものだからこそ、小さな選択が積み重なって、心も体もやさしく整えてくれると信じています。

※本記事は個人の体験と一般的な情報のご紹介です。脂質の摂り方について医師の指導を受けている方は、その指示に従ってください。肌にオイルを使うときは、必ずパッチテストを行い、異常を感じたら使うのをやめてください。ナッツアレルギーのある方は、該当するオイルを使わないでください。

※あわせて読みたい:ごまの栄養については白ごまと黒ごまの違い、調味料全体の選び方は調味料「さしすせそ」使い方ガイド、抗酸化についてはポリフェノール習慣 完全版、肌のオイルケアは自然素材のスキンケア実践帖へ。

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